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「最も過小評価されているドライバー」に選ばれた角田裕毅のRB残留は是か否か? 来季のレッドブル移籍を妨げた「確証バイアス」の存在
posted2024/12/27 11:03
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images / Red Bull Content Pool
いくつもの疑問が浮かんでは消え、いまもそれは人々の頭の中で浮遊している。
12月19日、レッドブルが2025年にマックス・フェルスタッペンのチームメートとしてRBのリアム・ローソンを起用すると発表した。この結果、ローソンのチームメートだった角田裕毅のレッドブル移籍という希望は露と消えた。
なぜ角田はレッドブルのドライバーに選ばれなかったのか? その答えを導き出すためには、ローソンが角田のチームメートになった過程を辿る必要がある。
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24年開幕時点で角田のチームメートはローソンではなく、ダニエル・リカルドだった。親チームのレッドブルにとって、リカルドは将来が不透明のセルジオ・ペレスの後任として適材だった。元々レッドブル・ジュニア出身のリカルドは、14年から18年まで5年間、レッドブルに在籍したかつての仲間であるだけでなく、8度の優勝経験という実績があるからだ。
ローソン昇格は既定路線だったのか
23年の7月に不調のニック・デ・フリースに代わって角田のチームメートとなったリカルドに、レッドブル首脳陣は準備期間を与えた。ところが24年シーズンが開幕してもなお、リカルドのペースが上がってこない。そんななか、レッドブルは24年の6月にペレスと25年以降の契約を更新。直後に角田が25年もRBに残留することが発表される。この事実は、レッドブルのドライバーラインアップ構想の中に、そもそも角田が存在していないことを意味していた。そのことはリカルドとローソンの交代劇によって、より鮮明となる。
リカルドがF1を去ったのはシンガポールGPの後だった。シンガポールGP終了時点での獲得ポイントは、角田の22点に対してリカルドが12点と、途中解雇されるほどひどくはなかった。参考までにRBのライバルチームの成績を見れば、ハースはニコ・ヒュルケンベルグの24点に対して、チームメートのケビン・マグヌッセンが6点。アルピーヌはピエール・ガスリーの8点に対して、エステバン・オコンが5点だった。