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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
1対1取材も「英語でやりますよ」ドイツ紙記者も魅了する堂安律の“コミュ力”…「これまでのベストシーズン」の秘密は「語学力の成長」にあり
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2024/12/22 11:04
今季大接戦のブンデスリーガで、第14節終了時点で5位につけるフライブルクを引っ張る堂安
「英語でやりますよ」
「通訳がいるので日本語で大丈夫です」という旨を聞くと、堂安はすぐに英語で「英語は行けますか? 英語でやりますよ」と答えたのだ。ヴァイゲント記者が「英語でも大丈夫なところはありますが、細かい表現などは通訳を介して日本語-ドイツ語の方が話しやすいかなと思いまして」と返すと、「なるほど、そしたら英語で聞いてください。わからないところは日本語で返します」と堂安はよどみなく答えた。
インタビューの内容は堂安が出版した書籍に関して、育成年代での取り組みについて、ヨーロッパへ移籍したころの苦難についてなど多岐にわたったが、堂安はどの質問にも真剣に考えて、とても丁寧に答えていく。そして多くの質問には英語で見事に応対していた。
流ちょうにつながりのある文法で
単語を並べたような英語ではない。つながりのある文法で流ちょうに話し、時折ユーモアを交えながらどんどんと答えていく。「えー」とか「あのー」といったところもほぼない。
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そもそもこうしたインタビューで通訳がつくときに、英語や現地の言葉で話そうという選手はそう多くはない。話せないわけではなくても、相手の話を間違って聞きとってしまったり、逆に選手自身の意図と違う形で言葉を解釈されてしまうことを危惧して、より正確にということで通訳にお願いするケースがやはりほとんどだ。
その点、説明が少し難しいところはお互いに通訳を介して内容を把握して、というやり方をとりながらも、堂安は英語でのコミュニケーションをまるで恐れず、むしろ楽しそうに話していたのがとても印象的だった。
「ボスの下につくのは難しい」
テンポよく進んでいくインタビューの途中でこんな話のやり取りがあった。
「サッカー以外で仕事をするとしたらどんな自分をイメージしますか?」という質問を受けて、堂安が「僕は誰かボスの下について働くには難しい性格だと思うので、何か自分で仕事を作るとか、事業を立ち上げるとか、そういう感じかなぁとイメージしますね」と答える。するとヴァイゲント記者が冗談交じりにこんな風につっこんだ。
「でもいまユリアン・シュースターというボスがいるけど?」
シュースターはフライブルクの監督だ。監督の話を聞けないというのではまずい。堂安はすぐに笑いながら、「いやいや、それは。ピッチ上に関する話はちゃんと聞くし、全部ちゃんとやりますよ」と答える。ヴァイゲントとベーラーの両記者も、笑顔でその反応を受け止めていた。いい雰囲気でインタビューが行われていることを感じさせるではないか。