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「パ、パリ五輪…大丈夫なのか」サッカー取材記者が運営に呆れたウラ話「あら、試合あるの?」フランス人女性の認知度も“その程度”だった
posted2024/12/23 11:04
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
Takuya Nakachi/JMPA
男子→なでしこ→男子…ドサ回りのような移動
オリンピックでは、「サッカー取材はドサ回りだよね」などと同業者同士で自虐することがある。
オリンピックは今回であればパリ、前回であれば東京と、都市が開催地となり基本的にはその都市もしくは近郊で行われる。今回はサーフィンがタヒチで行われた以外に、ハンドボール、バスケットボール、射撃、セーリングがパリ以外で行われたが、サッカーだけはいつどの大会でも、その開催地以外でほとんどの日程が消化されるため、なかなか開催地に近づけないのだ。
今年のパリ五輪、日本男子サッカーはボルドーで2試合、ナントで1試合、リヨンで1試合を行った。大岩ジャパンの入ったD組は決勝でのみパリで戦える日程になっていたが、それは叶わず。パリに入ることなく、パリ五輪を終えるというなんともシュールな結末を迎えた。振り返れば北京五輪では北京に、リオ五輪ではリオにそれぞれ入ることなく終わっている。この2大会とは違い1次リーグこそ突破したものの同じ末路を辿った。
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一方、女子はナント→パリ→ナント→パリと会場が割り当てられた。女子サッカーはパリが試合会場となったものの、近くで行われている他競技のような非日常感、華やかな五輪の雰囲気はなく、いつものサッカー場の雰囲気だった。やはり五輪の雰囲気を感じるには、メダルマッチくらいまで進出しないとならないのだとあらためて痛感させられた。
五輪サッカーは準決勝まで中2日で行われることもあり、男子の試合→移動して女子の試合→移動して男子の練習、といったサイクルで1日が絶えず動く。短期間ながら連日パリから遠く離れた都市間を移動し、取材することを繰り返すのはやはり「ドサ回り」という表現ほどしっくりくるものはない気がしている。
五輪初戦のちボルドーに向かおうとしたら
今大会の取材は、マルセイユ近郊のマルモールから始まった。
マルモールはマルセイユまでバスを乗り継いで2時間半、人口6000人強の小さな村。大岩ジャパンが五輪に向けた準備を行ったマルモールスポーツコンプレックスは――意外にもと言っては失礼だが――1984年にフランス代表がプラティニらを擁して欧州選手権優勝を果たしたときにも合宿地として使用された、歴史ある由緒正しき場所だった。
そんな縁起の良い施設での合宿を終え、いざ五輪初戦の地ボルドーへ向かおうとしたときのこと、ひとつめのトラブルに遭遇しかけた。