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球界に激震「ソフトバンクで高卒の育成入団は厳しい」育成ドラフト“まさかの入団辞退”ウラ側…現地で聞いた本音「二軍も出られない」優勝チームのジレンマ 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byNanae Suzuki

posted2024/12/04 17:00

球界に激震「ソフトバンクで高卒の育成入団は厳しい」育成ドラフト“まさかの入団辞退”ウラ側…現地で聞いた本音「二軍も出られない」優勝チームのジレンマ<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

ソフトバンク育成ドラフト1位・古川遼投手の入団辞退。なぜ起きたのだろうか

 1990年代初頭まではドラフト指名された選手の入団辞退がほぼ毎年のように起きていたのだが、近年では珍しい出来事ということもあり発表当日には大きなニュースとして取り扱われた。しかし、一方でソフトバンクにおいては今後もこのような事態が起こり得るのではないかとも考えられる。

 ソフトバンクは育成ドラフト出身の大スター、いわゆる「育成の星」を数多く誕生させてきた。千賀滉大投手(2010年育成4位)、牧原大成選手(同年育成5位)、甲斐拓也(同年育成6位)、石川柊太投手(2013年育成1位)、周東佑京選手(2017年育成2位)……といくらでも名前が挙がる。

 成功例を作り出していく中で、育成環境も拡充された。その最たるものは2023年に導入された四軍制だろう。

 しかし、組織が大きくなるにつれ、それに伴う課題も見られるようになってきた。

 今オフのリチャード選手の“移籍志願”や、今年育成から支配下登録されたばかりで一軍を経験して二軍でも好成績を残した三浦瑞樹投手や仲田慶介選手の両名が自由契約(育成再契約の打診つき)になるなど、シビアな面が表面化するようになった。

 常勝チームを作るべく戦力整備をする。数多くの選手を抱えながらそれを行っていくことで、競争の「枠」からこぼれ落ちる選手はどうしても出てきてしまう。

チームで聞いた声「高卒の育成は厳しい…」

 そんな中、チーム内でこんな声を耳にした。

「今のホークスでは、高卒で育成入団すると、かなり厳しい環境を乗り越えなければならないんです」

 一体、どういうことか。

 高卒の育成選手はたいていの場合、四軍スタートとなる。年間50試合程度(2024年シーズンの場合)組まれる四軍戦に出場しながらトレーニングも積み、時折三軍戦の出場機会もあるというのが大体のモデルケースだ。

 たとえば1年目は四軍を主戦場にして、2年目は三軍、そして3年目には二軍とステップアップしていくのが理想形のようにも想像する。

 しかし、声の主は首を横に振るのだ。

二軍にも出られない…なぜ?

「支配下に上がるためには最低でも二軍のウエスタン・リーグに出場してアピールをしなければなりません。そうやって上の軍に上がっていければいいのですが、毎年選手を獲る中には当然、大卒や独立リーグから入団する育成選手もいます。年齢が高い分だけ基礎体力はついているし、時間をかける余裕もない。だから彼らは三軍スタートが一般的です。そして……」

 あるルールが“高卒育成選手”にとって壁になっていると言葉を継ぐ。

【次ページ】 成功した過去…球団のジレンマ

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