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イチロー“日米W殿堂”濃厚だけでなく…「三冠王や2000安打2人」「三浦大輔172勝、ドジャース石井一久は3年36勝」イチロー世代の成績がスゴい
posted2024/12/04 18:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki
引退から5年が経過して、イチローが「MLB野球殿堂(Hall of Fame)」にエントリーされた。3000本安打を打った打者33人のうち、引退5年未満で殿堂入り資格がないアルバート・プホルズ、ミゲル・カブレラを除けば、殿堂入りしていないのは、このほど亡くなったピート・ローズ、アレックス・ロドリゲス、ラファエル・パルメイロの3人だけ。ローズは野球賭博に関与して永久追放となっている。ロドリゲスとパルメイロは薬物使用疑惑があるためとされる。
MLB殿堂だったのはこれまでただ1人だけ
そうした問題もなかったイチローは、殿堂入りが確実。しかも1年目での当選が確実視されている。それ以上に「満票で殿堂入りするかどうか?」が取りざたされている。
MLBの野球殿堂が創設されたのは1936年で、今年で88年目になる。MLBの野球殿堂入りは引退後5年を経過した選手、監督・コーチ、審判のうち全米野球記者協会(BBWAA)の投票で75%以上を得票した野球人となっている。5%未満だと選考資格を失う。資格は10年間継続するが、そこで殿堂入りしなかった野球人のうちから、さらにベテランズ委員会が選考して殿堂入りすることも可能だ。
圧倒的な成績を残した選手は、資格を得て1年目に殿堂入りする。ただし「満票」で殿堂入りしたのはただ1人だけである。
〈BBWAAの記者投票で殿堂入りした野球人の得票率10傑〉
2019年 マリアノ・リベラ 100%(425票中425票)
2020年 デレク・ジーター 99.7%(397票中396票)
2016年 ケン・グリフィーJr. 99.3%(440票中437票)
1999年 ノーラン・ライアン 98.8%(497票中491票)
1992年 トム・シーバー 98.8%(430票中425票)
2007年 カル・リプケンJr. 98.5%(545票中537票)
1999年 ジョージ・ブレット 98.2%(497票中488票)
1936年 タイ・カッブ 98.2%(226票中222票)
1982年 ヘンリー・アーロン 97.8%(415票中406票)
2007年 トニー・グゥイン 97.6%(545票中532票)
ヤンキースの絶対的なクローザーで、カットボールを駆使してMLB史上最多の652セーブを挙げたマリアノ・リベラだけが投票率100%の満票に達した。翌年、ヤンキースの同僚、デレク・ジーターも続くかと言われたが、1票足らずで満票を逃している。
10傑にはMLBの歴史を彩った錚々たる選手が連なっている(ハンク・アーロンは近年、実名のヘンリー・アーロンと呼称するのが一般的)。ベーブ・ルースは、野球殿堂が創設された1936年にタイ・カッブやホーナス・ワグナー、ウォルター・ジョンソンらとともに殿堂入りしているが、得票率は95.1%(226票中215票)だった。
満票は難しそうだが…最高の栄誉なのは間違いない
日本のファンは、イチローの「1年目、満票での殿堂入り」を期待しているだろうが、筆者は難しいと思っている。それはなぜか。