第101回箱根駅伝(2025)BACK NUMBER

「1月3日を終えて、私たちは年が明ける」〈第101回箱根駅伝〉次呂久直子幹事長(東海大学3年)が裏方として走り続けられる理由 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byShiro Miyake

posted2024/11/27 10:00

「1月3日を終えて、私たちは年が明ける」〈第101回箱根駅伝〉次呂久直子幹事長(東海大学3年)が裏方として走り続けられる理由<Number Web> photograph by Shiro Miyake

3年生で異例の幹事長抜擢となった次呂久直子さん(東海大学)

 この予選会の翌日から箱根駅伝に向けて動き出した。

 学連幹事は、現在39名おり、女子31名、男子8名の構成になっている。セクションは、審判担当、報道関係、印刷物作成、記録担当、物販担当、登録担当に分かれて作業をしている。月曜日から金曜日まで、大学の授業の合間や終わった後、それぞれ事務所に来て、作業をする。次呂久さんは、東海大の湘南校舎に通学しているので、大学と事務所を行ったり来たりするのが難しく、午前中か授業が終わってから作業をする。土日は、大会などが開催されることが多く、この時期は非常に忙しい日々が続く。それでもポジティブな気持ちで箱根駅伝に向き合って準備をしていけるのには、理由がある。

1月3日を終えて、年が明ける

「今、こうして幹事長を務めることができるのは、先輩や後輩に支えられているのが大きいんですけど、一番は同期の存在ですね。私の学年が一番多くて、日本学連も合わせると13名いるのですが、みんな仲が良くて、同期で遊びに行くことも多く、前回の箱根駅伝が終わった後は、広島に都道府県駅伝を見に行きました。公私ともに支えてもらっています」

 次呂久さんは、審判担当の業務の他に駅伝対策委員会の原晋(青山学院大学)委員長と幹事長として意見を交わしたり、監督代表者会議に出席して、大会実施要項の確認や各大学の要望を聞いたりするなど、かなり多忙だ。

「少しでもより良い大会にしていきたいので、監督や大学から意見や要望を聞きながらそれを反映させて箱根駅伝に臨んでいこうと思っています。全部を実現するのは難しいですが例えば選手のアップの時間を多く取るために中継所に入る時間をもう少し早めてほしいとか、そういう可能な要望には運営として応えて変更していきたいと思っています」

 次呂久さんは、大学や選手、応援するファンのためというスタンスにブレがない。その姿勢が待機所のレイアウトの変更など、普通は気付かないところに目が届くような改善を実現しているようにみえる。

「今季は、幹事長になると思っていなかった状況で幹事長になったので、手が付けられないところもありました。今年1年やってきて、もっとこうした方がいいというのも見えてきています。でも、まずは1月2日と3日の本大会を無事に終えることですね。3日を終えて、私たちはやっと年が明ける感じなので(笑)」

 次呂久さんは、来季も幹事長を継続する予定だ。2年連続の幹事長は、106年つづく関東学連の歴史の中で、次呂久さんを含め3人しかいない。2期目について考えることは多々あるが、本大会で幹事長として本部車に乗れば、また見えてくるものがあるだろう。そうして2年目も「継承と改革」の両輪で箱根駅伝をより良い大会にしていってくれるはずだ。

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