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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
和田毅引退で「松坂世代」が完結…投手成績を見直すと面白い「じつは松坂大輔より和田と杉内俊哉の方が」「メジャー挑戦は藤川球児ら4人」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/11/17 11:00
和田毅と松坂大輔。アマ時代からプロ野球、MLBに侍ジャパンとライバルであり盟友として「松坂世代」を牽引した
タイトルには無縁だったが、2007~09年にかけての3年連続30セーブは目覚ましい。こうしてみると各チームの先発、さらに永川以降も長田、小野寺、加藤、江草、小林など救援で頼りになる存在だった投手が本当に多いことに、改めて思いいたる。
メジャー挑戦した投手が4人もいる
またこの世代は、MLBに挑戦した投手が4人出た。MLBでの実績は以下の通り。
松坂大輔 2007~14年 レッドソックス、メッツ
158試56勝43敗1S 3H 790.1回 率4.45
和田毅 2014~15年 カブス
21試5勝5敗0S 0H 101.2回 率3.36
藤川球児 2013~15年 カブス、レンジャース
29試1勝1敗2S 1H 26.2回 率5.74
多田野数人 2004~5年 インディアンス
15試1勝1敗0S 0H 54.2回 率4.47
松坂大輔は5111万1111ドル11セント(当時のレートで約60億円)ものポスティングフィーでレッドソックスに移籍し、ジョシュ・ベケットと共にダブルエースとして活躍。初年度にワールドチャンピオンに輝いた。宿敵ヤンキースとの対戦では、松井秀喜やデレク・ジーター、アレックス・ロドリゲスらと名勝負を繰り広げた。
一方、和田と藤川は、十分な活躍ができたとはいいがたい。また、多田野はNPBのドラフトにかかる前にインディアンスの入団テストを経てメジャーで投げた。なお松坂、和田、藤川はMLB在籍中にトミー・ジョン手術を受けている。アメリカでプレーすることの過酷さを象徴している。
松坂世代からは200勝投手は出なかった。最多勝は和田の160勝、日米通算では松坂の170勝となる。243セーブ163ホールドの藤川球児が特例で「名球会」入りしているが、他に「名球会」入りした投手はいない。
投手の分業が進む中、昔の大投手のような実績を上げることは難しくなった。しかし「松坂世代」は、松坂大輔という「世代の星」を多くの優秀な選手たちが追いかけたことで、球史に残る、豊かで多様な「一時代」を築いたと言えるだろう。
ここまでは投手を取り上げたが、野手でも村田修一を筆頭に、多士済々の陣容となっている。
〈つづく〉