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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
沢村賞の選考基準問題「先発完投10以上」「中6日は甘い」苦言が常態化してるが…過去42年の「項目達成数」を比べると時代錯誤なのでは
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2024/11/04 11:00
沢村賞の選考を終え、記者会見する堀内恒夫委員長(中央)ら選考委員会メンバー
10年区切りの項目達成数を再掲すると、1980年代は平均6.28個、90年代は5.10個、2000年代は5.40個、2010年代は5.66、そして2020年代は――山本由伸が3年連続沢村賞の偉業を達成した一方で――4.25と確実にクリア数は減っている。
なお、2018年から「クオリティスタート(QS)」も選考の際に考慮することになった。MLBのQSは「先発で6回以上投げて自責点3以下」だが、沢村賞のQSは「先発で7回以上投げて自責点3以下」になっている。
全項目クリアは2018年の菅野が最後
今シーズンは登板数・勝率・奪三振の3項目をクリアした投手が伊藤大海(日本ハム)、モイネロ(ソフトバンク)、早川隆久(楽天)、戸郷翔征(巨人)と4人いた。勝利数は菅野智之(巨人)が、15勝でただひとりクリアしている。完投数10は、2020年の大野雄大(中日)の10完投以来出ていない。200投球回は2018年の菅野の202回が最後。そして7項目クリアも同年の菅野が最後である。
平均項目達成数の変化は、ここ数年で先発投手における考え方が大きく変わってきたことが大きく関与している。〈つづく〉