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出雲駅伝を制し、國學院大學が今季の主役候補に…青山学院大学、駒澤大学の「2強」の勢力図を塗り替えるか?

posted2024/10/30 10:00

 
出雲駅伝を制し、國學院大學が今季の主役候補に…青山学院大学、駒澤大学の「2強」の勢力図を塗り替えるか?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

ロングスパートに成功しゴールする國學院大學のアンカー平林。6区10.2kmを29分03秒で走りきった

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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Nanae Suzuki

 レースに敗れた時、青山学院大学の原晋監督のコメントは極端に短くなる。

「改めて、勝つのは難しい。駅伝は難しいね。やっぱり勢いを感じます、(優勝した)國學院さんにはね。うちももっと貪欲に、勝ちに行く姿勢が必要でしょう」

 大学駅伝の緒戦である出雲駅伝は、前評判の高かった青学大を3位に退け、國學院大學が5年振り2度目の優勝を果たした。

 学生たちの手で、3度胴上げで宙に舞った前田康弘監督は、対照的な笑みを浮かべてこう言った。

「今回はうちに流れや選手のコンディションが向いたんだと思う。もちろん選手の努力もあるけど、3大学の力の差はほとんどないと思ってます」

 青学大と駒澤大学の2強。ここ数年は、大学駅伝のタイトルをほぼこの2校で分け合ってきた。では今回、國學院大はどのような秘策を講じて、2強の壁に割って入ることができたのか。

堂々と勝ちに行くチーム作り

 前田監督が強調したのは、今年に懸ける決意だった。

「5年前に勝ったときは、正直『勝ってしまった』と思うところもあったんです。でも今年は戦力的にみても勝負の年で、堂々と勝ちに行くチーム作りをしてきた。一戦必勝で、どの駅伝も獲りにいくからと。その心構えが平林とも共有できていたからこそ、ああいう強気の走りができたんじゃないですかね」

 監督が振り返ったのは、優勝を決めたアンカー対決だった。

 前半から3校が激しい鍔迫り合いを演じ、最終6区にたすきが渡っても差はわずか。初マラソン日本最高記録を持つ國學院大の平林清澄(4年)がトップで走り出すと、4秒差でハーフの日本人学生記録を持つ駒大の篠原倖太朗(4年)が追いかける。さらに前回の箱根駅伝3区での快走が記憶に新しい青学大の太田蒼生(4年)が24秒差で続いた。

 史上稀に見るエース同士のぶつかり合いに決着をつけたのは、区間中盤で見せた平林の果敢なロングスパートだった。

「ラストスパート勝負にはしたくなかったので、中盤のアップダウンでギアを上げました。自分から仕掛けて勝負できたことは良かったです」と本人が語るように、勝負に勝つための最善策を探し、高いレベルで実践できたのが彼の非凡さである。

 終わってみれば、平林は区間賞の走りで、2位駒大との差を40秒まで広げた。3位の青学大とはちょうど1分の差だった。

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