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《日本2-0サウジの勝因》じつは陰のMVP南野拓実だった…想定外の布陣に対応できた理由「(堂安)律と話し合って」「ポジションが異なっても」
posted2024/10/14 17:03
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Taisei Iwamoto
“陰のMVP”南野が見せた重要なプレー
サウジアラビア戦で先制点をアシストした守田英正をこの試合のMVPに推す声は確かに多い。あるいは最終予選を通して見れば、堂安律と三笘薫の2人の攻撃的ウイングバックに注目が集まる。
ただ、もう1人、影のMVP的な仕事をこなしているのが南野拓実だ。
「先制点を取れたのが大きかった」
苦戦する可能性もあったサウジアラビアとの試合の勝因をそう振り返る選手はかなりいた。戦術面でも、あの先制点に繋がるプレーが相手の守備の攻略のキーとなっていた。
鎌田大地の先制ゴールは、堂安のクロスからの一連の流れのなかで生まれたものだ。ただ、あそこで堂安のクロスにつながる重要なプレーを見せたのが、守田と南野だった。
今年に入ってからの10試合、サウジアラビアは基本的に全て3バックで試合をスタートさせてきた。そのため、3バックで来る可能性が高いというのが日本サイドの読みだった。その上で“4バックを採用してくる可能性もある”と考えて、準備を進めてきた。
ただ〈4-1-4-1〉で来ることまでは想定しておらず、さらにキーパーソンである19番のサーレム・アルドサリが、これまでの中寄りのポジションではなく、左アウトサイドでスタートするという予想外の配置もあった。守備面では堂安が彼の対応に引っ張られ、それに伴い、南野が相手の左サイドバックであるハッサン・カディシュをケアする時間帯も増えた。
それでも、先制点を取ったことで試合の流れは決まった。前半14分、守備の穴をつく形での得点だった。守田の縦パスを南野が中央、右寄りで受けた。相手が採用した〈4-1-4-1〉では、ディフェンスラインの前にいるアンカー横のスペースが泣き所なのだ。そこを、南野が上手についてみせた。
南野は右サイドに開いた堂安へ。堂安は、現在の日本が4バックのチームと対戦した時に、アドバンテージを取れる逆サイドのポケットに向けてクロスを送った。これを三笘薫がダイレクトで折り返すと守田が頭で落として、鎌田が押し込んだ。
敵陣深い位置までなかなかボールを運べなかった日本は、守田から南野へのパスでそれを可能にして、ゴールまで呼び込んだ。
南野が意識していた“2つのポイント”
南野は、2つのポイントを意識しながら、あそこに顔を出したという。