Number ExBACK NUMBER
「国体」から「国スポ」へ…変わったのは名称だけでない? 佐賀県知事・山口祥義が語る“SAGA2024の挑戦”「日本のスポーツ界に一石を…」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by佐賀県
posted2024/10/01 11:00
SAGA2024では、国体ではなかったナイトゲームも実施される
継続して取り組んできたスポーツ発展の過程にあり、だから大会後の持続性も考慮しているという。
「国スポが終わったあとでもみんなに喜んでもらえるような施設やソフトが必要だと思います。例えば昨年オープンしたNBA級アリーナ『SAGAアリーナ』も、まずはスポーツで稼げるアリーナを作ることを考え、最高の試合が観られるような観客重視の設計で、収益をアスリートに還元できるようなものを目指しました。今はSVリーグ女子のSAGA久光スプリングスとBリーグの佐賀バルーナーズが本拠地としています。それとともにコンサートやコンベンションでの利用も意図して何度も打ち合わせを重ね、進めてきました。おかげさまでB‘zや松任谷由実さんのライブ、羽生結弦さんのアイスショーなど、スポーツ以外でもSAGAアリーナが選ばれています」
従来の枠を超えた取り組みの原動力をこう語る。
「スポーツの本質は挑戦にあると思います。我々も自由で、楽しく、すべての人を幸せにするスポーツの本質的な価値を伝えるための、大いなるチャレンジをしているわけです」
すべての人に、スポーツのチカラを
行政が前例を踏まえたがるのは失敗を恐れるからでもある。だが挑戦しなければ進化はなく新たな価値も創造できない。それを知るから知事は言う。
「手本はないので失敗もいろいろあるかもしれません。でも失敗も次へつながる糧になると思っています。失敗でも成功でも、その結果をひとつひとつ積み重ねていくことが大事で、みんなで世界標準のスポーツのあり方というものを強く意識しながら、わが国のスポーツ文化の発展に向け、未来へとつながる取組を行っていく必要があると考えています」
従来にない形を提示したいという思いがあるから、多くの人に知ってほしいと願う。
「スポーツにはやはりすごい力があります。例えばパリオリンピックでも体操男子団体総合の劇的な金メダルがあり、一方で男子バレーの日本対イタリア戦で24-21とマッチポイントを握りながらそこから逆転負けした試合がありました。想像もしないことが起きるのがスポーツのよさであり残酷さでもあります。人生に似て、先が分からない。でも、そこに一生懸命打ち込むから感動を呼ぶ。しかも、スポーツはする人だけではなく、応援したり、支えたり、スポーツビジネスなどで携わったり、すべての人がその素晴らしさに触れることができます。佐賀県は国体から国スポになって最初の舞台になりました。大会のメインメッセージは『新しい大会へ。すべての人に、スポーツのチカラを。』。スポーツの本質的な価値に真正面から向きあった大会ですから、多くの人にいろいろな形で参加していただきたいと心から願っています」