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「SAGAアリーナでプレーオフをやらせて欲しい」佐賀バルーナーズのヘッドコーチが「クビを覚悟」で県知事に直訴した理由とは?
posted2023/09/26 17:01
text by
大橋裕之Hiroyuki Ohashi
photograph by
Takuya Sugiyama
さかのぼれば2021-22シーズン――B2プレーオフにワイルドカード上位(全体7位)で進出した佐賀バルーナーズは、クォーターファイナルで西地区優勝の香川ファイブアローズに2連敗。アウェー戦でB1昇格の夢がついえた。この経験を踏まえて、宮永雄太ヘッドコーチ兼ゼネラルマネージャーは、2022-23シーズンに向けて「プレーオフのホーム開催」がB1昇格への最大の鍵と考え、レギュラーシーズンを耐え抜くためのチームを編成。チェイス・フィーラー、満原優樹、山下泰弘というB1経験者を補強して、昇格へ2度目のスタートを切った。
トップを狙える手ごたえをつかんだ瞬間
戦い方のテーマは「連動性」。指揮官はコート内外でこの考え方をチームに浸透させた。コートでは、1線のディフェンスがボールマンに対してプレッシャーをかけるだけではなく、2線や3線の選手も連動した動きを求め、オフェンスでもボールが動けば人も動く展開を徹底した。さらに、コートを離れても、選手同士がお互いの状態を気遣い、フォローしあえる意識を作ろうとした。
成果はシーズン早々、結果にも表れた。第8節のアウェー長崎ヴェルカ戦では、ディフェンスを武器に、2連勝をマーク。「トップを狙える手ごたえをつかんだ瞬間」と、宮永HCは明かす。
以降、11月から12月にかけて15連勝するなど奮闘を見せ、司令塔のレイナルド・ガルシアらのケガによって訪れた今年3月から4月の厳しい時期も乗り越えた。昇格を争う西宮ストークスやアルティーリ千葉、長崎に対しての連敗にも「目の前の試合でトライして、何が生まれるか考えていました。プレーオフでケガ人が戻ってきたときに戦えば、間違いなく我々の方に分があると確認できて、収穫のある試合でした」と、指揮官は振り返る。
そのガルシア不在の期間にスタメンに起用されたルーキー角田太輝の成長も、チームが得た収穫の一つだった。角田は、地元の佐賀北高校出身で白鷗大学を卒業後、佐賀バルーナーズ入り。同大4年時の一昨シーズンに特別指定選手としてB2プレーオフに出場した経験を持つ。
角田のコンバート「コートを見る視野が広がり…」
宮永HCは、ルーキーながらチーム2季目の角田を「どれだけ伸び伸びプレーさせてあげられるか」という考えでコートに送り出し、想定以上のスピードで成長していく姿を目の当たりにした。