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「1億もらってもおかしくない」“ヤクルト入団2年目で200安打”青木宣親が契約交渉で“ハッタリ”をかましたワケ「だって僕、イチローさんですよ」
text by
青木宣親×尾崎世界観Norichika Aaoki & Sekaikan Ozaki
photograph byJIJI PRESS / Miki Fukano
posted2024/09/12 11:07
ヤクルト入団2年目でセ・リーグ史上初の200安打を達成した青木宣親。当時の契約交渉の舞台裏を明かした
FA制度なんかも同じことで、球団からの評価を聞きたいというのは至極真っ当なこと。日本的な考えだとお金にこだわらないのが美徳みたいなところもありますけど、普段選手として数字で評価されている分、数字で返してもらう、というのは単純明快なことだと思います。
アメリカでは代理人に契約は任せていましたが、やはり僕も興味はあったのでどういう交渉をするのか聞いてみたことがあります。やはり基本的には数字が指標になっていて、それを元に交渉していく、と言っていました。
あと、バッターについては打球速度が契約の場面でもめちゃくちゃ大事だと聞きました。マイナーの選手で、ホームランの数はあまり打てていなくても、打球速度の数値が良ければ評価は高い。そういう選手を安く取って打球角度をつけさせれば、大化けする可能性がありますから。面白いですよね。
アメリカは評価に関して凄くシビアですし、結果を残せなければ問答無用で切られる。でも結果を残せば報われるということも明確なんですよ。そこは凄く分かりやすい。頑張って結果を残した選手に対する賞賛も半端じゃないんです。それを受けた時に、凄く報われた気持ちになりました。
「青木は安上がりだ」嬉しい評価
初めにテスト入団という立場でブルワーズに入った時もそうです。地元メディアなんかは「青木は凄く安上がりだ、ブルワーズはめちゃくちゃいい選手を獲った」っていう言い方をするんですよ。それも評価として嬉しかったのを覚えています。
例えば今の球団で使われる場面が少なかったとしても、頑張っていればトレード要員になって、他の球団でチャンスをもらえる可能性もある。向こうはそういうシステムも本当に上手くできていて、腐らずやっていれば誰かが見ている、という感覚があるんです。
自分の今いる場所や首脳陣からの評価、ライバルの選手との比較、というところにとらわれず、自分のありのままの実力を誰かが評価してくれているという感触があるから気持ちが前向きになる。シンプルに自分が価値のある選手になればいい、という思考でいられるので、ある意味やりやすかったです。