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「ハセベの経験を加速させる」日本代表だけでなく…二刀流コーチ長谷部誠にフランクフルトも前向き“3つの背景”「日本選手にすごく興味を」 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2024/08/30 18:56

「ハセベの経験を加速させる」日本代表だけでなく…二刀流コーチ長谷部誠にフランクフルトも前向き“3つの背景”「日本選手にすごく興味を」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2024年5月、引退会見での長谷部誠。この時点でフランクフルトの指導者になることは誰もが知ってはいたが……。

 クラブのレジェンドとなった長谷部はもちろん、フランクフルトでは高原直泰から始まって、鎌田大地ら計5人もの日本人選手がプレーしてきた。しかも、全て2シーズン以上在籍しているのだから評価は高い。彼らにしてみれば、日本サッカー協会との関係強化は望むところだ。実際、今年5月に長谷部が日本で引退会見を開いたあと、マルクス・クレシェ取締役は長谷部とともに宮本恒靖会長のもとを訪れている。

 彼らは2022年カタールW杯による中断期間を使って日本ツアーも行なっていたが、日本ツアーを通して金銭面な見返りを求める他クラブとは異なり、もっと長く深い付き合いを求めていると言える。

ライセンス取得のバックアップこそ長谷部の価値

 そして、(3)の「長谷部が勝ち取ったもの」について。

 そもそも長谷部は昨年3月の時点で、2028年6月30日までフランクフルトとの契約を延長している。これは現役を退いた後も、形を変えながら長谷部を雇用するという異例の契約だった。その大きな狙いとしては、長谷部が「フッスバル・レーラー(欧州トップカテゴリの指揮を執れるUEFA PROに相当)」というドイツ最上位の指導者ライセンスを取得するサポートである。

 ひょっとしたら、ドイツでは指導者ライセンス取得が容易だというイメージが日本にあるかもしれない。その根拠としては――ドイツ代表監督のユリアン・ナーゲルスマンが26歳でホッフェンハイムの監督になったり、ザンクト・パウリを昨シーズン2部優勝に導いたファビアン・ヒュルツェラーが、今季から31歳の若さにしてブライトンの監督を任されているから、である。

 しかし、それは全くの間違いだ。

 そもそもライセンス取得志望者は数多いし、フッスバル・レーラーの受講コースに入るためには、実際にはクラブの後ろ盾がないと難しい。若かったり選手経験のない指導者が抜擢されるケースが日本よりも多いというだけで、難易度は高い。

 そのために必要なクラブのバックアップを勝ち取ったのは、長谷部の選手としての実績と人間性があったからに他ならない。

 今回のプロジェクトの実現は、そうした状況の延長線上にある。

【次ページ】 ドイツでの“指導者初戦”後、日本代表に合流予定

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