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「ハセベの経験を加速させる」日本代表だけでなく…二刀流コーチ長谷部誠にフランクフルトも前向き“3つの背景”「日本選手にすごく興味を」 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2024/08/30 18:56

「ハセベの経験を加速させる」日本代表だけでなく…二刀流コーチ長谷部誠にフランクフルトも前向き“3つの背景”「日本選手にすごく興味を」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2024年5月、引退会見での長谷部誠。この時点でフランクフルトの指導者になることは誰もが知ってはいたが……。

「U-21のアシスタントコーチがメインではあるけど、『色々なカテゴリーを見たりしてほしい』、トップチームのコーチからは『たまには(トップチーム所属の)若い選手に個人レッスンをしてほしい』とも言われています。『最初の段階ではこのチームだけと限定せず、色々な可能性を探りつつ、オープンにやっていこう』と」

 実際、クラブは長年現役を続けてきた長谷部に長期休暇を与えており、コーチとしての活動を開始したのは8月下旬に入ってから。すでに、U-21チームが所属する4部リーグが第5節まで終えていたタイミングだった。そういうところからもU-21を強化するという単純な方針で、長谷部コーチの育成プランを組んだわけではないことがわかる。

ハセベの経験を加速させてくれるものだ

 だから今回の代表コーチ就任にあわせて、フランクフルトの育成部門長のアレクサンダー・リヒターはこんなコメントを発表した。

「今回の(日本代表からの)招集は長谷部の価値を明確に示しているだけではなく、長谷部が指導者としての経験を積むのを加速させてくれるものです。それに(A代表のコーチを務めていても)U-21の日々の仕事ができます。

 そして今回の決定は、我々の指導者チームの中でしっかりと対話した上で、下されたものです。我々は日本サッカー協会とコンスタントに連絡をとっており、長谷部の将来的な派遣(*筆者注:2026年W杯などを指すと思われる)も可能になります」

フランクフルトは日本サッカーと関係強化したいはず

 続いて、(2)の「フランクフルトにとっての日本サッカー界の存在」についてはどうか。

 実は昨年4月からフランクフルトは中学生年代のアカデミーを日本でスタートさせている。これは長谷部が2017年4月に故郷の静岡県藤枝市で開校し、現在は東京などで展開している小学生年代のスクールの“次のステップ”としても機能している。

 昨年3月に記者会見を行なった際、長谷部はこう話していた、

「僕のサッカースクールが藤枝にあります。そこは小学校6年までですが、そこから先の中学校年代をアイントラハトと一緒にチームでやっていこうという形です。ドイツ人のコーチが来て指導します。藤枝だけではなく浦和レッズとの提携(※22年10月に締結)もそうですし、日本の選手にすごく興味を持ってくれているので」

 これは仮定の話だが、中学生年代の選手が高校に進む時点で、高校生年代のチームを作る可能性は十分にある。優秀な人材がいれば、ドイツにあるフランクフルト本体に合流させることもできる。

【次ページ】 長谷部に鎌田、高原…日本人への評価は高い

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