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「ハセベの経験を加速させる」日本代表だけでなく…二刀流コーチ長谷部誠にフランクフルトも前向き“3つの背景”「日本選手にすごく興味を」
posted2024/08/30 18:56
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Takuya Sugiyama
クラブチームのU-21アシスタントコーチと、代表チームのコーチ兼任。長谷部誠が挑む“二刀流”は、森保一監督が熱望したことがきっかけだったのは――前編で記した通りだ。
ただ、実現するには長谷部に給料を払ってもアイントラハト・フランクフルトが同意しないといけなかった。特筆すべきは山本昌邦ND(ナショナルチームダイレクター)が語ったように、フランクフルトが「ポジティブ」な提案として、同意したことだ。
フランクフルトが前向きな“3つのポイント”
日本代表だけに目を向けていると気づきにくい視点――長谷部にU-21アシスタントコーチのポストを用意したフランクフルトが、このプロジェクトに前向きだったのはどうしてなのか。そこには3つのポイントがある。
(1)フランクフルトが考える長谷部コーチの育成方針
(2)フランクフルトにとっての日本サッカー界の存在
(3)長谷部が勝ち取ったもの
それぞれのポイントについて見て行こう。
まずは(1)の「フランクフルトが考える長谷部コーチの育成方針」について。
まず、フランクフルトのような強豪クラブにはこんな前提がある。
代表選手を多く抱えるクラブでは、代表ウィークに多くの選手がチームを離れる。そのため、トップチームはU-21と合同で練習することも多いが、U-21チームにもまた年代別の代表選手がひしめいている。
ヨーロッパでは基本的に、年代別代表チームの試合はA代表と同じタイミングで組まれており、彼らもまたこの時期にチームを離れる。そのため、トップチームとU-21で合同練習を行なったとしても、選手数は不足気味で、コーチが多くなりがちな現象が生まれる。
つまり、コーチが1人抜けることはクラブにとっては大きな弊害にならない。それが大前提だ。
長谷部コーチ育成プランは“単純な方針”ではない
その上で、フランクフルトの方針を見てみよう。
まず、長谷部に対して特定のチームに専念してもらうという強い意向があったわけではなかった。現地報道によれば今季はU-19のアシスタントコーチを務める可能性もあったという。むしろ、クラブ側は長谷部の経験をクラブの様々なところで還元してほしいという意向があった。
長谷部も現役引退のタイミングでこう話していた。