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「甲子園の階段でぐったりするファン」「車イスで運ばれた体調不良の女性」酷暑の高校野球…現地で私が見た異変「観戦ルール、2つの改革案」
posted2024/08/25 11:05
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
JIJI PRESS
夏の甲子園に通い始めてから35年になるが、今年の夏が体感的にはいちばん暑かった。
今年は8月13日から15日にかけ、3日間通ったが(13日、14日は銀傘が覆う日陰の中央指定席上段、15日はアルプススタンド)、13日には入場時点で「異変」が起きていた。
13日は気温が上がり、近隣の神戸市の最高気温は36.4度。私が球場に向かう途中、「バーチャル高校野球」で見ていた第2試合では、石橋(栃木)の投手、入江祥太が足を攣ってしまい手当の時間が取られていた。
ようやく球場に到着し、8号門から入って3階まで上がると、通路から青空がのぞく。最高の瞬間である。
ところが、そこから先が渋滞している。「何事だ?」と思っていると、車いすが通るので、みんなが待っているようだった。
ハンディキャップを持つ人が通るのかと思っていたら、違った。体調不良になった女性が車いすで運ばれていくところだった。
気を付けようと思いながら記者席横のシートに落ち着く。
階段でぐったりしているファン
ちなみに、私が中央指定席上段にこだわるのには、理由がある。2013年、東北勢から日大山形、花巻東の両校が準決勝に進んだとあって、東北出身の私は勇んで甲子園に出向いた。席は中央席下段だったが(当時はまだ指定ではなかった)、とにかく日を避ける余地がなかった。その観戦後、私は感染症(いわゆるプール熱)を発症した。おそらく、甲子園観戦によって免疫力が低下していたと思われる。そこで、指定席が取れるようになってからは、直射日光を避けられる上段を押さえるようにしている。
ところが、8月13日は種類の違う暑さにやられた。この日の午後はあまり風が吹いておらず、日陰であっても、サウナのなかで観戦しているようだった。
智弁和歌山対霞ヶ浦の第3試合が始まってからも、異変は続いた。