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セーヌ川問題は「終わっていない」…水質汚染で「中止」を連発、未解決のままパラリンピックに突入「結局リスクは残った」選手村にも課題 

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齋藤裕

齋藤裕Yu Saito

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posted2024/08/21 11:02

セーヌ川問題は「終わっていない」…水質汚染で「中止」を連発、未解決のままパラリンピックに突入「結局リスクは残った」選手村にも課題<Number Web> photograph by Getty Images

8月9日に行われた男子マラソンスイミング。セーヌ川を泳ぐスペインのカルロス・ガラチ(結果は途中棄権)

「居室環境については、水漏れ、鍵が開かないということがありました。初日に金メダルを獲った角田夏実選手は減量がキツい中、鍵が開かないということがあって部屋を移動してそれでも結果を出していました。選手たちも受け入れながら対応していました。また現地の組織委員会のみなさんが快く都度都度対応し、改善も含めて良い状態でサポートできた」(谷本副団長)

「セーヌセーショナル」が“二重に笑えなかった”理由

 スペイン、イタリアにも陸続きで接しているフランスはややラテンな雰囲気があり、筆者が街中で出会った現地のひとたちは陽気で優しい印象で、行く先に迷っていると声をかけて案内してくれる人も多かった。一方で、競技会場のスタッフに「入って大丈夫!」と満面の笑みで案内されたエリアが実は入ってはダメだった……など、運用という観点からすると、いい加減なところがある。

 競技場周辺の設備面では古い施設のためトイレが壊れていたり、仮設トイレで鍵が閉まらなかったりすることはあった。このあたりに関してはフランス批判の急先鋒となっている感のある近隣国のイギリスやドイツ、そして何でも厳格に運用しようとする日本とは少し価値観が異なるところなのかもしれない。

 パリ五輪はセンセーショナルだったかもしれない。ただ、「セーヌセーショナル」というギャグを心から笑えるほど、セーヌ川という会場や五輪関連施設が素晴らしかったかというと、表情がどこか固くなってしまう。

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