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オリンピックPRESSBACK NUMBER
「公道を馬が歩いている!」パリ街中で遭遇した“馬が身近すぎる”驚きのフランス馬事情「馬糞を見るのも日常」「馬術の競技人口は日本の約100倍」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byYu Saito
posted2024/08/20 11:40
日常的にパリの街中を闊歩する警察騎馬隊。日本ではなかなか目にすることのない光景だ
逆にギャンブルというイメージが強いからか、成人前だと接触機会が限られ、家庭環境によっては忌避されることもあるだろう。これは多くの若年層のファン確保だけでなく、多様な競技者の確保を考える上でも「課題」と言える。
記者が感じた“日本とフランス、馬文化の決定的な違い”
日本でジョッキーとなるためには、日本中央競馬会(JRA)の競馬学校か地方競馬全国協会(NAR)の地方競馬教養センターの騎手課程試験を20歳未満の年齢で受ける必要がある。その年齢までに、競馬に関わる親戚や競馬好きの家族がいなければ、競馬のことを知らずに20歳を迎える人間もいるだろう。他ならぬ筆者自身がそうで、体重などの条件面では受験資格を満たしていたのだが、21歳でそのことを知って、落胆した(もっとも受験したとして合格できたかは甚だ怪しい)。
今、活躍しているジョッキーの多くは、競馬関係者の子どもだ。厳しい選考があり、合格数も限られてはいる。ただ、今は他競技に目が向いている子どもたちが家庭環境に関係なく、競馬を知る機会があったら……。子どもたちのスポーツの選択肢として馬術が加わることで、さらに個性的なジョッキーが生まれ、競馬というスポーツのさらなる発展に寄与するのではないかとも思う。
パリで馬に触れる機会を得て、翻って感じたのは、相対的に日本では子どもが身近に馬に触れる機会が少ないということだった。それはある意味で伸びしろとも言える。小さい時に馬に触れる機会が増えていけば、日本でも「馬に乗りたい」と思う“乗り役の卵”が増えるのではないか。ヴェルサイユ宮殿に目もくれず、灼熱の空のもと静かに視線を送る少年少女、若者、老夫婦を見て、そんなことを思った。
<ヴェルサイユ宮殿編から続く>