オリンピックへの道BACK NUMBER
「死にたい」「僕が勝っていれば」何が卓球・張本智和を追いつめたか…「やめないでほしかった」プレーだけではない、水谷隼の不在の大きさ
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTetsuya Higashikawa/JMPA
posted2024/08/10 17:27
男子卓球団体準決勝、第5戦でスウェーデンのケルベリに大逆転負けを喫してうなだれる張本
今大会は張本が21歳、戸上が22歳、篠塚が20歳と若いメンバーがそろう。オリンピックを経験しているのも張本だけで、戸上と篠塚は東京五輪のリザーブでもなかった。試合でも、試合以外でも、おのずとエースに、前面に押し出されるかっこうとなった。
当初は葛藤もあったが、己の役割を引き受けようとした。ただ、背負わざるを得ない範囲と重さは大きすぎた。
「この結果は必然」
それでもなお、毅然とした姿勢を貫こうとした。
「正直、準決勝が終わった時点では、最悪の大会だと思いました。今日も勝てなかったけれど、すごくいい大会だったと思います。戸上、篠塚と田勢(邦史)監督、サポートしてくれた皆さんのおかげで戦えました。このチームを誇りに思います」
悔しさはある。容易に消化はできないだろう。
「(3大会ぶりメダルなしという結果を)たまたまで終わらせることもできるし、必然と思うこともできるけれど、僕は必然だったと思いたい。自分に絶対、何かしらの問題がある。僕たちは、頑張り続けることしかできません」
若い戸上、篠塚にとっては、この結果を貴重な経験にできるはずだ。
むろん、張本こそ大きな糧にできる。ひとまわりもふたまわりも大きくなって、大舞台に戻ってくることができる。
今はただ歯を食いしばって、目線を上げる。