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「これがフランスだ」パリ五輪“お粗末運営”に失望の声…現地記者が聞いた“選手の本音”「選手村は盗難が怖い」「東京五輪はもっと評価されるべき」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byJIJI PRESS
posted2024/08/09 11:01
IOCのトーマス・バッハ会長とフランスのエマニュエル・マクロン大統領。意気軒昂と開幕したパリ五輪だが、さまざまな課題が浮き彫りになっている
「昨日は入れたのに…」出入口の変更は日常茶飯事
出入口が変わることは日常茶飯事で、昨日入れたエリアに今日は入れなくなる。ある競技会場では開会式までは練習場に入れたが、開会式後は練習場にアクセスできなくなった。スタッフに問うと「それはたしかにおかしいね」と、掛け合って、交渉してくれた。交渉先は会場のセキュリティ。警察やセキュリティは基本、保守的というか面倒くさがりで、変更をよしとしない。報道担当の責任者に結局こう告げられた。
「私も公開練習の時はメディアも入れるべきだと思うんだけど、セキュリティがなぜだか今日は変更したくないみたい。明日には変わっていると思うけど(笑)」
案内してくれた日本人のボランティアスタッフもその言葉を聞いて、淡々とこう語る。
「あー、これがフランスです」
スタッフはボランティア含めておしなべて親切で表情が明るい。ボランティアはフランス人だけでなく、出会っただけでもスペイン、アメリカ、オマーン、中国、日本などからも参加している。ボランティアは優しいのだが、本部から情報が伝わっていないようで、情報が錯綜することがしばしば。スタッフ10人に聞いてやっと地下鉄の駅から競技会場の報道専用入口にたどり着けたこともあった。筆者は当初「なぜ?」と理不尽に思うこともあったが、2週間ほど滞在した今では、別の場所を案内されても驚くことなく、受け入れられるようになった。いつかたどり着けるはずだ、セボン(大丈夫)、セボン。
一方で、警備面はかなり厳格に運営されている感はある。サッカー日本代表のある試合では応援の太鼓が保安上の理由から没収されるなど厳しくチェック。開会式の日が一番街中の警備が多かったが、それを終えても地下鉄の駅や市内の各所を警察が巡回している。筆者は9年ほど前にパリに来たことがあるのだが、肌感覚としては警察がいることで治安的にはかなり良化している印象だ。