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「これがフランスだ」パリ五輪“お粗末運営”に失望の声…現地記者が聞いた“選手の本音”「選手村は盗難が怖い」「東京五輪はもっと評価されるべき」
posted2024/08/09 11:01
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph by
JIJI PRESS
「これがフランスだ」
一体、パリ五輪の競技会場で何回聞いたことだろう。
「こういうところがあるんだよね。フランスって」
基本的には皮肉で用いられるこの言い回し。例えば、こんな感じ。
メディアセンターという各国の報道機関が集う施設があるのだが、そこで選手や試合情報を伝える公式サービス「MyINFO」の説明会が12時に予定されていた。
少し前に会場につくと、スタッフは「説明会は1Fでやるようだよ」と言う。
その言葉に従い、1Fの記者会見場に行くと100席ほどのシートに10名ほどの各国メディアが点在して座っている。壇上には誰もいない。広報担当らしきスタッフもおらず、始まる気配もない。
15分ほどが過ぎ、スタッフが慌てて駆け込んで伝える。
「上の2Fでやる予定です」
また変更か。行ってみると、会見は始まっていない。3分ほど待つと、スタッフが驚きの事実を告げる。
「12時に説明会を行うスタッフが来たのですが、誰も参加者がいませんでした。なのでキャンセルになりました」
1Fに場所の変更を告げられていた各国のメディアが英語でまくしたてる。
「1Fの別の部屋を案内されていたんだから、来られるワケないだろ!」「担当者早く来い!」「何か代わりの説明の機会はないのか」
何を言ってもひっくり返らない気がしたので、部屋をあとにしようとすると、190cmほどの大柄な欧米系の男性と目が合った。
「これがフランスだ」
オランダから来たというその男性記者は、苦笑いをしながらそう語る。
「施設とかデザイン、見せ方はいいんだけど、運営面にこういうところがあるんだよね。フランスって」
なんとなくそう思ってはいたが、ベルギーを挟んで陸続きの近隣国の記者に言われて、確信に変わる。これがフランス式オペレーションなのだと。