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スケボー女子パーク「日本人母」メダル独占の陰で…東京五輪王者が“まさかの予選落ち”のナゼ 四十住さくら(22歳)が直面した「新時代の波」
posted2024/08/08 11:35
text by
吉田佳央Yoshio Yoshida
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
「えっ、スケボーの女子パークって、メダリスト 全員お母さんが日本人なの?」
開心那の銀メダル獲得のみならず、そんな選手の生い立ちも話題に上がったスケートボード・女子パーク。
たとえ日本代表ではなくても、日本にルーツを持つ選手の活躍は嬉しい気持ちになって当然だ。
だがその裏では、2連覇を期待されながら惜しくも予選敗退に終わってしまった選手がいる。
東京五輪の金メダリスト、四十住さくらだ。
ただ、敗れたとはいえ、予選1本目はフルメイクのランも見せた。彼女が素晴らしいスケートボーダーであることに変わりはない。
では、なぜ彼女は予選敗退に終わってしまったのだろうか?
前回大会金メダリストに何が起きていたのか?
すでに多くの方が2023年5月に負った右膝後十字靱帯断裂という大ケガの影響を挙げているが、それは間違いのない事実だろう。
ケガの後は半年ほど滑ることのできない日々が続き、そこから「技を戻すのに時間がかかってしまった」と本人も語っている通り、その後は「チャレンジャーの気持ちでオリンピック予選に臨む」と話していたので、相当大きな影響があったことは容易に想像がつく。
ケガをする前までの彼女は、順風満帆だった。
東京五輪金メダルの勢いそのままに2022年は日本初開催となったX Games CHIBAで、当時コンテスト初披露だったヒールフリップインディ(カカトでボードに縦回転を加え、後ろ側の手でお腹側から掴むトリック)を成功させて優勝を飾っているし、パリ五輪予選大会の初戦も3位と滑り出しも良好。そんな中で彼女を襲ったのが前述のケガだった。
半年以上のブランクは、年齢層が特段に若い女子のスケートボード競技においては相当大きかった。
その間に今回のパリで金メダリストとなったオーストラリアのアリサ・トルーや、ファイナリストとなったスペインのナイア・ラソなどがオリンピック予選で表彰台に立ち、日本からは16歳の草木ひなの、13歳の長谷川瑞穂が国際大会の決勝のステージで注目を集めてきた。
まだ22歳に過ぎないが、女子パークの全出場選手の中で2番目の年長者でもある。気づけばすっかりベテランの域に達していたのだ。10代の選手が台頭する種目で「周囲が10代ばかりの中でよく戦っている」と語ることもあったという。