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アーティスティックスイミング、「課金制」抗議で日本の順位がジャンプアップのナゼ…他にも有料の競技はある? そもそもなんで有料?
posted2024/08/07 17:12
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PRESS
8月5日、アーティスティックスイミングのチーム・テクニカルルーティンが行われた。
日本代表は当初6位とされたが、抗議を行った結果、得点が30点以上と大幅に増え、一気に3位に繰り上がることとなった。
それもさることながら、関心を呼んだのは抗議に費用がかかること。現在のレートでおよそ8万5000円を支払わなければ抗議できない仕組みに、多くの反応があった。
客観的採点へと改正されたルール
アーティスティックスイミングは東京五輪後に大きなルール改正が実施された。従来はジャッジの主観が強いとされていて、順位も大会の前からだいたい決まっていると言われるくらい、強豪国は常に上位で変わらず、透明性にも欠けるという批判があった。
そこでフィギュアスケートのようにひとつひとつの技に難易度を定め、その出来栄えと組み合わせて採点する仕組みに変更がなされた。演技の構成は試合前に申告し、その技が認定されなければ大幅に減点される。
日本チームの演技は、終盤の演技が認定されず1.4667点にとどまり、トータルでも253.6617点で6位となった。これに抗議を行い審判団が映像で確認。結果、技が認定され32.7067点に。総得点も、284.9017点に向上したのだ。
その抗議に要する費用が、1回につき約8万5000円というわけだ(抗議が認められた場合のみ、後で返金されるという)。
「課金制」抗議はほかの競技にもある?
バレーボールのチャレンジシステムなど、判定見直しを求めて映像で確認する制度を設けている競技は増えているが、それらは有料ではない。ことアーティスティックスイミングについてだけなぜ有料なのか、と波紋を投げかけることともなった。お金がなければ抗議もできないのか、とみることもできる。
実は有料なのはこの競技だけではない。例えば体操も映像の確認を求める際、お金がかかる。体操の場合は「インクワイアリー」と呼ばれる。1回目は300ドル、2回目は500ドル、3回目は1000ドル、と上がっていく。1000ドルだと約15万円。相当の負担になる。
この仕組みが日本で知られるきっかけになったのは2012年のロンドン五輪だった。