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誤審、号泣、辞退…選手に投げつけられる“誹謗中傷”は東京五輪より悪化している? 「正義感」を増幅するメディアの悪弊「コタツ記事」
posted2024/08/03 11:05
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Naoya Sanuki/JMPA
パリ五輪が開幕し、競技が進むにつれ、クローズアップされている問題がある。「誹謗中傷」だ。
7月27日に行われた柔道男子60kg級の準々決勝で疑惑のある判定から敗戦を喫した永山竜樹が自身のSNSで、対戦相手のフランシスコ・ガリゴス(スペイン)への誹謗中傷をやめるよう訴えた。
誤審、号泣、辞退への過激な反応
「お互い必死に戦った結果なので、ガリゴス選手への誹謗中傷などは控えて頂きたいです。審判の方も判断の難しい状況だったと思います」と記した。
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7月28日に行われた柔道女子52kg級の阿部詩に対しては、心ないメッセージがいくつも送られたことが指摘された。
7月29日、競歩の柳井綾音が自身のSNSに綴った。
「今回の20kmWの辞退の件ですが、たくさんの方から厳しい言葉に傷つきました。
試合前は余計神経質になり、繊細な心になります。
批判ではなく応援が私たち選手にとって力になります。
批判は選手を傷つけます。
このようなことが少しでも減って欲しいと願っています」
柳井は個人種目の出場を辞退し混合競歩リレーに専念することを発表。それに対して寄せられた反響にこたえてのものだった。
出口クリスタの悲痛なメッセージ
8月1日には、柔道女子57kg級で金メダルを獲得した出口クリスタが自身のSNSにメッセージを掲載した。
「コメント欄を見ていて悲しくなるし私が戦ってきた選手に対してあまりにも申し訳ないのでここにコメントさせて貰います」
「選手を庇いたくなる気持ちも分かるけどこういう所での不毛な争いは国や選手、色んな人を巻き込んでマイナスなイメージを植え付けるだけで得する人は誰一人としていないです」
出場している選手からの発信だけでなく、元五輪代表選手やスポーツ関係者、それにとどまらず各界の著名人も自制を求める声が出ている。