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団体でも勝てずメダル数は減少…日本柔道は弱くなったのか? 「誤審」「ルーレット」を越えて、パリで見えた“お家芸”の課題とは
posted2024/08/05 18:02
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Tetsuya Higashikawa/JMPA
パリ五輪、柔道は8月3日の混合団体戦をもって、すべての日程が終了した。
混合団体戦決勝、日本の対戦相手はフランス。東京五輪でも対戦し、敗れて銀メダルだった雪辱を期して臨んだ。2階級上のクラスに出場して一本を奪った角田夏実をはじめ、各選手は健闘したが、最後は斉藤立がテディ・リネールに屈して銀メダルで締めくくった。
日本の成績は振るわなかったのか?
今大会では初日から、判定が不当ではないかと疑問を呼び、注目を集める場面が数多くあった。その中で、日本柔道が弱くなったのではないか、との声も少なからず上がったという。
メダルの数でみると、直近の大会ではどうだったか。
*2016年リオデジャネイロ五輪
男子 金2、銀1、銅4
女子 金1、銅4
*2021年東京五輪
男子 金5
女子 金4、銀1、銅1
混合団体 銀
パリ五輪では、
男子 金2、銀1、銅2
女子 金1、銅1
混合団体とあわせて、金3、銀2、銅3の計8個のメダルとなった。
東京五輪の特殊要因
ここ2大会と比べれば、メダルの数は減少している。女子の2個は過去最少だし、金メダルも東京から大きく減った。ただ、東京五輪はコロナ禍の影響もあって、海外の選手は来日後に隔離措置があり、練習時間などの制限もあったのに対し、日本はナショナルトレーニングセンターを練習拠点として活用し、練習相手にもこと欠かなかった。強化の成功に加え、そうした点も踏まえる必要がある。
また、2016年リオデジャネイロ五輪後にルール改正が行われた。それまでは反則ポイントに1つでも差があれば勝利とされたのが、技によるポイントか、指導3回による反則負けで勝敗が決することに変更されたのだ。反則1つで勝負が決まるため、反則狙いの柔道が横行していたことへの懸念からだったが、働きかけたのは日本側である。この変更後しばらくは、しっかり技をかけて一本をとる柔道を志向する日本にとってメリットが大きかったこともあげられる。
このような前提の上で、パリ五輪の結果や内容はどう捉えればよいか。