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バスケ日本代表 五輪前の熱戦つづく裏側で…渡邊雄太“SNS離脱”で考えるファンとアスリートの距離感「SNSの世界はあくまで一面的なもの」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/07/06 06:02
ふくらはぎの故障を公表したパリ五輪代表候補の渡邊雄太。同時に6月末で自身によるSNSでの発信をストップ
アメリカで渡邊と会ってじっくりと話したうえで、スタッフと相談して、目標を仮決定した。そして、沖縄W杯以来の活動となった今年2月の代表合宿のミーティングの前に、キャプテンの富樫勇樹(千葉ジェッツ)に目標について問うた。
富樫の「すごく良いと思います」という答えを聞いて、最終決定を下した。その上で、直後ミーティングで選手たちにこの目標を伝え「ベスト8以降の試合が行なわれるパリへ行けると信じますか?」と一人ひとりに問うていったという。
渡邊はホーバスHCと話し合った内容についてこう語っている。
「目標設定は現実的なものじゃないといけないのかなと思っているので。今の自分たちの力と、世界を見たときに金メダルを取るというのは、あまりにも無謀な目標設定というか、ちょっと現実味が薄いのかなと。
ただ、『1勝』とか、そういう低い目標設定とかにはしたくなかったので。そうなったときに『(パリ五輪)ベスト8』という目標が難易度もしっかりとあって、今までの成長を考えれば無理な目標ではないというところでした」
「絶対的なスーパースターはチームにいらない」と考えているホーバスHCが、そこまでの信頼を寄せるのが渡邊なのだ。
SNSから見えるものは…あくまで一面でしかない
想像力が無ければ、渡邊のコート外で果たす役割までは見えづらい。渡邊自身も周囲に気を使ってか、ホーバスHCとのやり取りを以下のように明かしている。
「(目標について)たぶん僕だけじゃなくて色んな選手に話を聞きながら(決めたの)だと思うんです」
一見すれば「代表の中核選手のケガ」という事実でしかない。ただ、その事実の陰では多くの要素が絡み合っている。
SNSの発達で、間違いなく選手とファンの距離は近くなった。一方で、そこにすべての事実があるわけでもない。アスリートのSNSとの付き合い方を、ファンもまた考えるべきなのかもしれない。