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バスケ日本代表 五輪前の熱戦つづく裏側で…渡邊雄太“SNS離脱”で考えるファンとアスリートの距離感「SNSの世界はあくまで一面的なもの」
posted2024/07/06 06:02
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto
アスリートとSNSにまつわる問題に、真剣に向き合うべき時が来ているのではないだろうか。
バスケ日本代表の精神的な支柱である渡邊雄太が、左ふくらはぎを痛めた。7月27日にW杯王者ドイツとの試合で幕を開けるパリ五輪。そこに出場できるかどうかの瀬戸際に立たされている。
それは突然の告白だった。6月29日、NBAのチームに所属する選手たちの代表練習への参加が解禁された初日、渡邊は自ら口を開いた。
「6月頭くらいからケガをしていて、先週くらいに悪化させてしまいました。本番まで、残り時間がないなかで、治るかどうかギリギリのところというのが現状です。去年も(W杯の)本番前に怪我して、ギリギリのところでやり切ったので、そういう経験値があるというのをプラスにとらえ……。
少し焦ったり、『またこのタイミングで!』という苛立ちもありますけど、それを言い出しても仕方がないので。今は治療などやれることに全力を尽くして、本番までに少しでも足を良くすることを心がけたいと思っています」
驚いたのは、この告白を受け渡邊がケガをしたことを批判する意見がSNSでも目についたことだ。そこには大きな問題が潜んでいるように思う。
アスリートとファンを巻き込む「SNS問題」
1つ目が、渡邊の置かれた状況だ。彼は今年、メンタル面に異常をきたして、休養を余儀なくされていた。
今シーズンの渡邊は大きな期待を胸にフェニックス・サンズへ加入したが、シーズン中に大型トレードに組み込まれ、メンフィス・グリズリーズへ移籍。そこで1から力を証明しようと奮闘し、ある試合で11得点を決めた。まさに、ここから上がっていけそうだというタイミングだった。
次の試合に向けて気持ちを高めている状況で、「ユウタ、この試合には出ないぞ」と言われたことで、心が深刻なダメージを受けたという。逆境すらもモチベーションに変えてきたのが渡邊だったが、そのときの気持ちをこう振り返っている。
「初めて、自分に食らったというか……『これからキツイな』と思ってしまった」