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バスケ日本代表 五輪前の熱戦つづく裏側で…渡邊雄太“SNS離脱”で考えるファンとアスリートの距離感「SNSの世界はあくまで一面的なもの」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/07/06 06:02
ふくらはぎの故障を公表したパリ五輪代表候補の渡邊雄太。同時に6月末で自身によるSNSでの発信をストップ
今回でいえば実戦から離れている期間が過去にないほど長かったからこそ、調整が難しかったことや、パリ五輪にかける想いが強いからこそ無理をしてしまったことは想像に難くない。もちろん事実がどうかは正確にはわからないが、そういった葛藤はSNSの文字だけでは見えてこないのだ。
例えば、日本中を熱狂に包んだ沖縄W杯。そこでのやり取りはJBAの公式YouTubeチャンネルである「INSIDE AKATSUKI」や、公開期間延長が決まった昨年のW杯のドキュメンタリー映画「BELIEVE」などを通して、目にすることができる。
また、昨年のW杯の試合だけを見た人であれば、比江島慎(宇都宮ブレックス)や富永啓成(当時ネブラスカ大)、河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)のほうが渡邊より活躍したと思うかもしれない。
ただ、前述のように我々が目にすることができるのは、膨大なやり取りや広大なストーリーのごく一部でしかない。
W杯でウイニングボールが「渡邊に渡された」意味
あのW杯の最終戦の試合終了のブザーがなった直後、大活躍した河村がウイニングボールを渡邊の元へ届けにいった意味はなんだったのか。河村はこう語っていた。
「雄太さんがこのチームを引っ張ってきたと思うし、トム(・ホーバスHC)さん体制の前から、ずっと日本代表を引っ張ってきた先輩なので」
2019年中国W杯で渡邊と共同キャプテンを務めていたベテランの篠山竜青は、こう証言している。
「NBA選手は、(様々な事情から)W杯出場をキャンセルしても批判されないじゃないですか。でも、彼は、代表活動に来られるときには必ず参加している。代表に対する情熱はあのころからずっと感じていますよ」
今回のパリ五輪での「ベスト8」という目標設定に関しても、渡辺の存在感は非常に大きい。ホーバスHCの言葉を借りれば、目標決定のプロセスは以下のようなものだったという。