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「あのリトルマンはキラーだな」“175cmの名手”も“NBA関係者”もホレる22歳河村勇輝の伸びしろ「人生にとって大事な2週間だった」
posted2023/09/11 11:02
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
「あのリトルマンはキラーだな」
FIBAバスケットボールワールドカップで、日本代表がフィンランド代表相手に歴史的な逆転勝利をあげたとき、日本代表アソシエイトヘッドコーチのコーリー・ゲインズのもとに、そんなテキストメッセージが届いた。
送り主はアイザイア・トーマス。2011年から11シーズンに渡ってNBAでプレーしたポイントガードだ。ボストン・セルティックスに所属していた2016年、2017年にはオールスターにも選ばれている。
ゲインズがフェニックス・サンズやワシントン・ウィザーズでアシスタントコーチをしていたときにトーマスの個人練習を担当していたこともあって、2人は今でも頻繁にメッセージを送り合う仲だ。
「リトルガイ・クラブのメンバーだと伝えて」
トーマスが「リトルマン」と呼んだのは、身長172cm、日本代表ポイントガードの河村勇輝のことだった。『キラー』というのはトーマスがよく使う言葉で、最大級の賛辞だ。
トーマス自身175cmとNBAでは小さいガードとしての苦労も味わってきた。それだけに、同じようなサイズの河村が小気味いいプレーでフィンランドのディフェンスを翻弄する様子が目に留まったようだ。
実際、フィンランド戦での河村は、第4クォーターに切れ味の鋭いドライブインからのレイアップやステップバックの3ポイントシュートを決めたかと思うと、緩急を生かしたドライブインから味方にアシストを通すなど、ビッグプレーを連発していた。フィンランドのエースでNBAオールスター選手、身長213cmのラウリ・マルカネンにマークされても、冷静に3Pシュートを沈めたり、ドライブインで抜き去ったりしていたのが圧巻だった。第4クォーターだけで15点、3アシスト、試合を通して25点、9アシストをあげた河村は、間違いなく日本の大逆転劇の原動力だった。
トーマスは、続けてゲインズへのメッセージでこうも書いた。
「リトルマンに、彼はこれで正式にリトルガイ・クラブのメンバーだと伝えておいてくれ。ちびは力を合わせていかないとな」