モーターサイクル・レース・ダイアリーズBACK NUMBER
マルケスの来季ドゥカティワークス入りに伴う“玉突き移籍”で改めて露呈したホンダ、ヤマハの求心力低下…中上、小椋は来季どうする?
posted2024/06/22 11:02
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
シーズンも中盤戦となり、MotoGPクラスではライダーたちの来季の移籍交渉が山場を迎えている。その移籍交渉でもっとも注目されたのが、ナンバー1チームのドゥカティワークスだった。すでにディフェンディングチャンピオンのフランチェスコ・バニャイアの残留は決まっていたが、そのチームメートはマルク・マルケスに決まった。ドゥカティはふたりのチャンピオンを起用することになる。
これを受けてドゥカティワークス残留の可能性が消滅したエネア・バスティアニーニは、KTMのサテライトチームのレッドブル・GASGAS・テック3へ移籍。ドゥカティのナンバー2チーム、プラマック・レーシングからドゥカティワークス入りを強く希望していたホルヘ・マルティンは、マルケスとのシート争奪戦に敗れたことからドゥカティを離れ、アプリリアワークスに行くことが決まった。
その結果、アプリリアワークス残留と言われていたマーベリック・ビニャーレスは、アプリリアワークスを出て、KTMのサテライトチーム、レッドブル・GASGAS・テック3でバスティアニーニのチームメートに収まることが決まった。ナンバー1の座がマルティンに代わり、待遇面でも差をつけられたことでプライドが揺らいだのが理由だと言われている。
この一連の動きは、6月上旬に行われた第7戦イタリアGPが終わってからわずか1週間ほどの出来事であり、ドゥカティワークスのシートが決まったことで、その結果待ちだったトップライダーたちの行き先がバタバタと決まった。
いまだ不透明な日本メーカーの陣容
そのなかで明らかになったのは移籍先の人気度だった。当然のことだが、コンストラクターで断トツの強さを見せるドゥカティ、そのドゥカティを追撃するKTMとアプリリアのヨーロッパの3メーカーにトップライダーたちの人気は集中した。
すでに2チーム4人すべてが決まったKTMのライダーの顔ぶれは、2017年にMotoGPクラスに参戦してから過去最強の布陣となった。次なるセカンドグループのシート争奪戦も、ドゥカティとアプリリアのサテライトチームから決まっていくことが予想される。
日本メーカーのヤマハは、現在コンストラクターでは5メーカー中4位。元チャンピオンでエースのファビオ・クアルタラロの契約更改にこぎつけたが、もうひとりは未定だ。今季加入のアレックス・リンスは契約更改を希望しているが、22年を最後にサテライトチームのないヤマハは従来の2チーム体制に戻そうと動いており、その結果待ちという状況となっている。ヤマハは現在、ドゥカティナンバー2チームのプラマックとの契約を目指していて、その結果次第でライダー市場にも大きな変化が生まれることになる。