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「あとは祈るだけ」「オーバーエイジは気になる」サッカーパリ五輪“18人”の争いが最終段階…ピリピリ米合宿で“予選の主力組”が漏らした本音
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAP/AFLO
posted2024/06/15 11:05
最終テストとなったアメリカ戦で天を仰ぐ主将・藤田譲瑠チマ(22歳)。熾烈なサバイバルを終え、7月3日にいよいよパリ五輪メンバーが発表される
パリ五輪アジア最終予選を兼ねたAFC U23アジアカップの準決勝イラク戦では2−0で迎えた79分、絶対に失点したくない場面で佐藤は投入された。佐藤の攻撃力もさることながら守備力が求められた投入でもあった。
「そういう使われ方は他の人にないところだと思うし、その上で攻撃としても数字を残せれば」
発揮すべき自分の特徴はなにか、他の選手と違うところはどこか、突き詰める日々だったのだろう。
「何もしなかったら確実に落ちるし、結果を出しても五輪メンバーに入れるかわからない。100パーセントの力を出して、チームに必要な存在になれるように」
予選を戦ったアドバンテージを感じている様子は微塵もなかった。
初招集の佐野航大「(練習の)レベルが高い」
一方、五輪直前で大岩ジャパン初招集となった佐野航大は、23‐24シーズンにオランダ1部のNECナイメヘンでスタメンに定着し、4得点3アシストの活躍。そのパフォーマンスを認められてこの場にたどり着いた。初めて大岩ジャパンの練習に参加し、新鮮な驚きを感じていた。
「いやー、レベルが高いと思いました。一つ一つの技術、チームとしてやること、求められていることがやっぱりオリンピックを戦うチームなのだなと」
大岩監督から佐野への評価ポイントの一つにユーティリティ性がある。インサイドハーフだけでなくサイドでもプレーできることは18人しか選出されない五輪代表にあって重要なポイントとなる。佐野自身もそれがストロングポイントであることを自覚している。
「オランダでの1年間を通してそこは武器になりました。ここでそういった面は見せていきたい。でも、インサイド、ボランチが好きなのでスタートはそこでプレーできれば」
もともと昨年夏、NECに加入した時点で五輪を念頭においていた。
「カタールW杯が終わった時点で、目指すべきはU-23代表だと思っていました。だからこそ自チームで活躍しないと、と思っていたしそこを狙って海外移籍しました。うまく自チームで試合に出られて、こういうところに来られたのは嬉しい」
最終合宿メンバーに滑り込んだとはいえ、五輪に行くにはここからさらに選ばれなくてはならない。
「狭き門ですけど、選ばれたからにはやります」
最後のアメリカ戦を前に、そう意気込んでいた。