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「あとは祈るだけ」「オーバーエイジは気になる」サッカーパリ五輪“18人”の争いが最終段階…ピリピリ米合宿で“予選の主力組”が漏らした本音
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAP/AFLO
posted2024/06/15 11:05
最終テストとなったアメリカ戦で天を仰ぐ主将・藤田譲瑠チマ(22歳)。熾烈なサバイバルを終え、7月3日にいよいよパリ五輪メンバーが発表される
最終テストのアメリカ戦を翌日に控えた10日、このチームの立ち上げメンバーで主軸のひとり山本理仁に「ここまでの手応えは?」とたずねたところ、こんなふうに返ってきた。
「海外組にとってはシーズンが終わってるんで(山本はベルギーのシントトロイデン所属)、もう見せる場がここしかないですし、もう最後の試合ということでしっかり自分の持ち味を出して。あとは祈るだけだと思います」
“祈る”という普段は使わないであろうワードに思いがこもる。
山本がプレーするインサイドハーフでは佐野のような新顔も、久々に合流した三戸もポジション争いに加わった。加えて、オーバーエイジの可能性が取りざたされるポジションでもあることを山本は認識している。
「オーバーエイジは注目度も高いですし、ニュースを見れば一番最初に出て来ますけど自分でどうにかできるものでもなくて監督が決めることなので。意識しすぎず頑張っています。オーバーエイジも全員ライバルのひとりであると思うのでそういった意味ではイヤですけど……」
主将・藤田も気になるオーバーエイジの動向
同世代の仲間の誰かに五輪の切符を奪われるのは仕方ないとしても、オーバーエイジの選手が来たことによって自分が五輪に行けなくなるのはちょっと、と思う選手がいても不思議なことではない。
山本と共に中盤でコンビを組んできた主将・藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)はのんびりとした口調もあいまって、こんな時期にあっても泰然自若として見えた。メンバー争いについてきいても「特にチームの雰囲気もこれまでと変わってないと思いますし、自分で考えてもしょうがないことですし」とどこ吹く風でもある。
だが、ことオーバーエイジについて触れると様子が変わる。藤田がプレーするアンカーもオーバーエイジ選手が取りざたされるポジションだ。
「オーバーエイジに関してはまあ、気になりますね。ご飯の時とかに“ツイッター(X)に出てたね”ってみんなで話したりします」
ただ、これに関してはオーバーエイジが必要かという議論を呼んでしまったこと自体が自分たちのせいであると、少々反省気味だ。
「もっと自分が頑張れてたら、気にする必要はなかったですからね」
自分たちの力不足の招いた結果だと言わんばかりに自虐風に話し笑いを誘いつつ、複雑な心境をのぞかせた。