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「箱根駅伝リクルートへの影響は…」高校駅伝“留学生3km区間規制”で長距離界に起こる「変化の予兆」とは? 現王者・佐久長聖駅伝部監督に聞く
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph byJIJI PRESS
posted2024/06/17 06:01
現在、都大路の2区3kmで区間記録を持つ1人は「天才」として名高い佐藤清治だが、留学生は優にその記録を超えてくると予想されるという
当時、同校のエースは村澤明伸(東海大→SGH)だったが、レース前にスローペースを見越した両角速監督(当時、現東海大監督)はあえて村澤を準エース区間の3区に配置し、千葉健太(駒大→富士通)を1区に抜擢した。
「村澤はフロントランナーだったので、スローペースの1区を走ったら集団を引っ張らされる可能性が高かった。それだったら自分のペースで行ける3区において、1区は千葉を起用して、集団の中できちっと確実に繋いでもらおうと、そういう区間配置をしました。当時はエースを1区以外に置くケースはほとんどなかったので、結構、他校から『おっ』と思われたみたいです」
そして、今年のような留学生ランナーの「中距離重視」路線が続けば、駅伝だけでなく高校生ランナーにとってトラックレースの主戦場であるインターハイの5000mでも同様の事態が起こる可能性があるという。
「仮に留学生が駅伝を見据えて1500mなどの中距離種目を重視するようになれば、5000mに出場する留学生が減って、日本人ランナーだけになるかもしれません。そうなれば勝負を重視して2008年の都大路の時のように、牽制し合ってスローペースになる可能性も高い。特にインターハイは真夏ですしね。
そうなると実力のある日本人ランナーがいても、なかなか1人で引っ張り切ることは難しい。ラスト勝負になれば走力だけで結果はわかりませんし、最後にキレのある選手が有利になってくる可能性もあります。そうやって全国レベルの大会の結果に影響が出てくるかもしれません」
箱根有力校のリクルートへの影響は…?
一方で、駅伝界の花形である箱根駅伝を目指す大学からのリクルートへの影響については「各スカウトさんはさまざまな大会を独自の尺度で判断しているはずなので、大きな影響はないのではないか」と語る。とはいえ、インターハイのような大きな大会での結果は、スカウトの印象面に少なからず作用する可能性もあるだろう。