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留学生は単なる「助っ人」なのか? 高校駅伝のルール改正が話題に…現王者・佐久長聖高監督が語る“功罪”「競う場が減るのはマイナスだが…」
posted2024/06/17 06:00
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph by
JIJI PRESS
昨年末、高校駅伝界で外国人留学生に関する大きなルール改正の発表があった。
1990年代前半に始まった高校駅伝での留学生ランナーの起用をめぐっては、これまでもたびたび議論がさわれてきた。結果として1995年に「出場できるのは各校1人まで」、2008年には「最長区間(※男子は1区10km、女子は1区6km)での起用禁止」など、徐々に制限が設けられてきた。
2024年大会からは、それに加えて「男女とも留学生の起用は最短区間に限る」というルールが適用される。全国高校駅伝の最短区間は男女とも3km。これまでは男子では8km区間、女子では5km区間と2番目に長い区間を担うことが多かっただけに、区間距離が減ることでレースへの影響力が減ることが予想される。
高校駅伝界の「王者」はルール改正をどう見るか
「これまでも留学生の区間制限の話は何度も議題には上がっていたので、突然という感じはありませんでした。ただ、日本人だけのチームで優勝した大会の直後に発表されましたから、その意味でも『このタイミングなのか。ちょっと驚いたな』というのが正直な感想ではありました」
そう語るのは、昨年の男子の都大路を2時間1分0秒の大会新記録で制した佐久長聖高校(長野)駅伝部の高見澤勝監督だ。佐久長聖はこれまで留学生の起用経験はなく、日本人ランナーのみで3度の全国優勝を果たしている。
「大前提としてウチの場合はチームに留学生もいないし、駅伝では相手に留学生がいるかどうかもあまり気にしていないんです。全国で勝つためにどういうレースをするか。それを考える上で、相手に留学生がいればいるなりの対策を考えますし、いなければそれに応じた配置を考える。なので、今回のルール変更に関しても心情的には大きな変化はないんです」
力のある留学生ランナーを相手にしても、個人では勝てないまでもチームでは十分戦い得る。それはこれまで日本人だけで3度の全国制覇を果たした佐久長聖ゆえの矜持でもあり、駅伝という競技の面白さでもある。