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「本当にあの…」松井稼頭央監督が11秒も黙った“ある質問”…電撃休養、西武・松井監督「最後の1日」 ひとりで責任を背負い続けた指揮官の去り際
text by
中島大輔Daisuke Nakajima
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/27 17:21
26日、休養が発表され取材に応じる西武・松井稼頭央監督。去り際に語ったラストメッセージとは――。
監督の愛車に積まれた練習道具
平石コーチがベルーナドームを後にすると、球団施設と駐車場をつなぐ階段のすぐそばに白いベンツが移動されてきた。松井監督の愛車だ。荷物が次々と運ばれてくる。なかには新しいノックバットもあった。
18時56分頃、私服に着替えた松井監督が現れた。一斉にテレビカメラと記者陣が取り囲む。最後の取材が始まった。
――(2連勝して)これからという部分もあったのかと。
「結果の世界ですから。どうですかね。それまでの結果というのも含めてですね」
なるべく感情をはさまないような口ぶりだ。普段の会見では考えながら話すような口調が多いが、いつもより早口に聞こえる。
最後の選手への言葉は? の質問に…
休養はどのように決まったのか。そんな中での采配はどんな思いが去来していたのか。戦力的にも苦しかったはずだが……。
そんな数問の質疑応答が交わされた後、ファーム監督時代からそばで取材してきたフリー記者が「最後に選手たちへの言葉を」と振ると、いつもの松井監督のようにペースを少し落として語り出した。
「まずは球団にもちろん感謝していますし。こういう位置にいながらでもファンの方に熱い声援をしていただいて。そこで期待に応えられなかったのはもちろん申し訳ないし。ファームに若い選手がいますけれど。うーん……まだね、これから大きく成長する選手も含めてそうですし、もちろん頑張ってほしいですから。しっかりと見ておきたいなと思います」
込み上げてくる思いをまとめるように、じっくりと話した。最後は小声になっていき、感傷的なように感じた。
実際に最後、選手たちにどんな言葉をかけたのだろうか。
「本当にあの……」
そう言うと11秒置き、言葉を継いだ。