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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「マリーゴールドはスターダムが反面教師」揺れる女子プロレス“業界1位と2位”の対決…ロッシー小川に勝算はあるのか「興行戦争も面白い」
posted2024/05/25 17:06
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
なぜ“背番号1”の19歳を第1試合に抜擢したのか
女子プロレスの新団体「マリーゴールド」の旗揚げ戦は5月20日、満員札止めの後楽園ホールで行われた。
全6試合だったが、筆者は第1試合に注目していた。
マリーゴールドは背番号制だ。選手やスタッフに番号がついている。その“背番号1”が19歳のビクトリア弓月だ。小川は弓月をオープニングマッチに選んだ。相手は大ベテランの高橋奈七永。高橋は引退を見据えてマリーゴールドに参戦してきた。
代表のロッシー小川は、試合前にこんなことを話していた。
「弓月はとんでもないレスラーになる可能性がある。でも奈七永は弓月がやりたいことをさせないでしょう。長州力がそうさせないように。それはイデオロギーの違いですから。試合がどうなってもいいとは思ってはいません。旗揚げ戦の第1試合という大事な試合ですから」
マリーゴールドにはまだリングがない。リングは発注しているが、出来上がるのは夏になるという。リングができたら道場を開く。そんなわけで、旗揚げ戦のリングはノアのものを使用した。
旗揚げ戦の数日前、弓月は感触を確かめるため、そして入場の練習をするためにノアのリングがある場所まで足を運んだ。若き日の武藤敬司のような、両手でロープを握って回転するリングインをしたかったのだ。だが、意外と難しくてうまくいかなかったという。
「それを見ていた清宮(海斗)にコツを教えてもらったんです。そうしたらうまくいった。ああ、教え方なんだな、と思いました。弓月には『これがうまくいったらマリーゴールドは成功するよ』と言いました」
旗揚げ戦当日、その入場もしっかりと成功させ、弓月は高橋と戦った。第1試合からハードなものになった。弓月は粘りに粘り、壁のような高橋に懸命に向かっていった。最後は高橋のパワーに押しつぶされてしまったが、以降の試合の流れをハードな方向に導くような戦いになったとも言えた。