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「息子と会えないのは寂しいけど…」女子バレー岩崎こよみ(35歳)涙で明かした代表復帰の本音「母になってから、自分にも優しくなれた」
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米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byVolleyball World
posted2024/05/27 17:00

ネーションズリーグで先発起用が続く岩崎こよみ(35歳)。出産を経て、5年ぶりにA代表に復帰している
大会が始まる前、岩崎はこう語っていた。
「バレーボールであれ、プライベートであれ、みんなそれぞれ悩みもあるし、大変なことも抱えている。私もそうですけど、そういうことを含めて支え合えるような、弱みも見せられるようなチームになれば、もっと強くなるんじゃないかなと思う。
私は一番“年上”っていうふうに見られるし、しっかりした人と思われがちなんですけど、全然そんなことないので(笑)。下の子たちもあまりピリピリせず、バレーとは別のところでストレスを感じたり、変な気を使うことがないように、あえて自分も弱みを見せていければなと思います。自分もそのほうが楽だし」
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いつも凛としているイメージの岩崎の弱みは想像しにくいが、「たくさんありますよ」と笑った。
「公の場で発言するのもものすごく苦手だし、バレーの技術もメンタルも、そりゃあもうたくさん課題はありますし、子供に会えなくて寂しいという気持ちもある。年齢を重ねて衰えてきていると感じる体も心もありますし、ほんと、いろいろあります」
2021年に出産、かつてはイタリアでプレーも
35歳の岩崎には、今大会中に3歳の誕生日を迎えたばかりの息子がいる。2021年5月に出産し、その約2カ月後に活動を再開。2021-22シーズンのVリーグで試合に復帰した。
出産前は旧姓の「冨永こよみ」の登録名で活動していた。アタッカーからセッターへの転向、アキレス腱断裂の大怪我や日本代表入り、所属チーム(パイオニア)の廃部、イタリア・セリエAへの移籍など様々な経験を重ねた。イタリアでのプレーは1シーズンのみだったが、若い選手たちに慕われ、頼られる存在だった。そんな経験豊富な岩崎でも、出産を経たあとの変化は想像以上だったという。
「変化はすごくたくさんあって。特に考え方の面ですね。なんか、子供が生まれると、もうただ子供が元気にその日過ごしてくれたら、100点満点なんですよね。例えば保育園の運動会で、泣いて走れなくても、それだけで、もうそこにいるだけでいいんです……」
そう話しながら、思わずこみ上げてきた涙をぬぐった。