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石川祐希でも高橋藍でもなく…世界を驚かす男子バレー“20歳の新星”「アルゼンチン戦で確信した」“身長2m”甲斐優斗のトンデモない可能性
posted2024/05/25 11:04
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Volleyball World
日本男子バレーにまた新星が現れたと、世界のバレーファンがざわついている。
現在開催中のネーションズリーグで、日本は開幕3連勝と絶好のスタートを切った。この予選ラウンド第1週は主将でエースの石川祐希、高橋藍が登録されていない中、アウトサイドヒッター陣がパリ五輪への生き残りをかけそれぞれに個性を発揮しているが、その中で、初戦のアルゼンチン戦で初先発したチーム最年少の20歳、甲斐優斗(専修大3年)が存在感を見せている。
身長2mの大型アウトサイドである甲斐は、昨年のネーションズリーグで代表デビュー。主にリリーフサーバーとしてセット終盤に登場すると、度胸よくサーブを打ち込んで崩し、必ずブレイクを奪って帰っていった。その後もアジア選手権、パリ五輪予選と1年を通して選出され続けた。
そして冬場は、約4カ月間フランスリーグのパリ・バレーで過ごし、技術もパワーも格段にレベルアップ。その成果を今回のネーションズリーグで発揮している。
石川祐希、高橋藍とは対照的な姿勢
昨年12月、甲斐がパリ・バレーに加入したと聞いて驚いた。その少し前、大学生を中心とした日本代表の若手合宿に参加していた甲斐に、「大学の試合がない冬場に、海外リーグやVリーグでプレーしたいという思いは?」と聞いた際、こう言って否定していたからだ。
「自分は性格的に、ま、徐々にやっていければいいかなっていうタイプなので。チャンスが来た時に、そこでチャレンジできればいいのかなーと思います。自分は、ガツガツ行くようなタイプではないので」
その答えに正直拍子抜けした。アウトサイドで不動のレギュラーとなっている石川や高橋藍をはじめ、貪欲に成長を求めて海外に出ていき、代表で地位をつかんでいった選手たちとは対照的に映ったからだ。
だがその後、甲斐はパリへ。甲斐のポテンシャルを高く評価する日本代表のフィリップ・ブラン監督や日本バレーボール協会の後押しがあってのことだったが、4月にシーズンを終えて帰国した甲斐に改めていきさつを聞くと、苦笑しながらこう語った。