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慶應大を飛び級卒業→弁護士を目指す“学生アイドルレスラー”…無村架純“最高の引退試合”とこれから「表舞台に出ることはたぶんない。でも…」 

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門間雄介

門間雄介Yusuke Monma

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2024/05/23 11:03

慶應大を飛び級卒業→弁護士を目指す“学生アイドルレスラー”…無村架純“最高の引退試合”とこれから「表舞台に出ることはたぶんない。でも…」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2024年3月に引退した学生レスラー・無村架純。現在は弁護士になるため学業に励む日々を送っている

LINEのステータスメッセージは「誘わないでください」

 将来の仕事を視野に入れてからは、一心不乱に勉強と向き合った。

 たとえば現在の1日のスケジュールは、午前10時から午後11時まで自習室で勉強。

「たぶん弁護士になったら、深夜2時ごろまで働く生活になると思うので、それに比べればマシです。習慣だから、つらくないんですよね」

 遊ぶ時間は基本的にない。LINEのステータスメッセージは「誘わないでください」。彼女の日々は、「自習室にいるか、プロレスのお仕事をしているか、時間があればプロの指導を受けているか」で明け暮れる。「あとは寝ているか(笑)」

 プロのレスラーと交流を持ったことで、レベルの高いプロレスの指導を受けられたし、練習にもせいいっぱい取り組んできた。できるかぎりのことはやってきたつもりだが、100点と言える試合はまったくできなかった。

 だから引退試合は、積み重ねてきたものを見せられる、絶好の機会だと意気込んでいた。

 ところが2023年11月に行われた三田祭での試合で、受け身を取りそこねた結果、左腕を骨折してしまう。

 引退まで、残された時間はわずかだった。

顔面蹴りにエルボーの応酬…引退試合は激闘に

 骨折した左腕はなんとか完治し、いよいよ迎えた引退試合。

 パチ子との闘いはまれに見る好勝負となった。

「女子同士なので、ハイスピード系やルチャっぽい動きのほうが女子らしさは出たと思うんです。でも……」

 この日の彼女が思い描いていたのは、たとえば彼女の好きな全日本プロレスのような、昭和感の残るバチバチしたプロレスだった。

 序盤はグラウンドの攻防から。場外戦を挟み、互いに固め技で相手を絞りあげていく。そしてコーナーでの蹴り、エルボーの応酬、ブレーンバスターの打ち合い。

 パチ子の技は的確で激しい。スリング・ブレイドや、コーナーポストでの倒立~拝み渡りに至るムーブまで、見せ場をはずさない。学生プロレス界に誕生した、新しい女子レスラーのスターだ。

 かたや無村も、雪崩式ブレーンバスターをくり出し、頭突きでかち上げ、得意のシスター・アビゲイルで攻め込む。

【次ページ】 “最後の試合”で無村が出したかったもの

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