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慶應大を飛び級卒業→弁護士を目指す“学生アイドルレスラー”…無村架純“最高の引退試合”とこれから「表舞台に出ることはたぶんない。でも…」 

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門間雄介

門間雄介Yusuke Monma

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2024/05/23 11:03

慶應大を飛び級卒業→弁護士を目指す“学生アイドルレスラー”…無村架純“最高の引退試合”とこれから「表舞台に出ることはたぶんない。でも…」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2024年3月に引退した学生レスラー・無村架純。現在は弁護士になるため学業に励む日々を送っている

飛び級で慶應大を卒業→法科大学院へ

 最後にいい試合をしたい。彼女がそう考えるに至った理由は、また別のところにもある。

「やっぱり勉強に時間を取られて、満足できる試合がずっとできなかったので」

 これは彼女について語るときに、まず語るべきことなのかもしれない。

 彼女が大学を飛び級で卒業したこと、授業料全額免除の特待資格で大学院法務研究科へ進んだこと、そして2024年7月に行われる司法試験を受け、弁護士になると誓っていること。

 彼女は実際には大学4年ではなく、法科大学院2年に在籍する、成績優秀な司法試験受験生なのだ。

きっかけは大学1年で経験した“刑事事件”

 彼女が弁護士を目指した大きなきっかけは、大学1年生のときに経験したある刑事事件だった。

 そのころ交際していた自称“京大卒”の医師が、実は医師免許もなく、ビザもない不法滞在中の外国人で、そのうえ彼女の父親名義のクレジットカードを不正利用して逮捕されてしまった。そして彼女は彼と同棲していた部屋を、家賃滞納による強制執行で追い出されてしまう。

 ほとんど嘘みたいなその事件に巻き込まれたとき、親身になってくれたのが、彼の国選弁護人を務めた弁護士だった。

「電話で話していて、君の思考は論理的だと言われたんです。君ならなれる、司法試験なんて日本語が書ければだれでも受かるんだからって。それで司法試験を受けてみようと思ったんです。本当にその一言で」

 高校時代は国際交流活動にも携わっていたため、将来はインターナショナルな仕事に就き、日本をよくしていきたいと思っていた。と同時に、法律を学ぶことにも興味があった。

 慶應義塾大学法学部に進学後、成績がよかったため、自分は法曹の仕事に向いているのかもしれない、そう思った。企業法務という分野を知り、それらを通じて日本をよくしていけるかもしれないと考えたことも大きかった。

 それでも「君ならなれる」の一言がなければ、きっと弁護士を目指そうとは思わなかった。

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