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「あの人は不格好なんだよ。でも…」武藤敬司61歳が明かす25年前、天龍源一郎とのベストバウト「武骨で、へそ曲がりな部分が天龍さんの魅力」 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2024/05/19 11:03

「あの人は不格好なんだよ。でも…」武藤敬司61歳が明かす25年前、天龍源一郎とのベストバウト「武骨で、へそ曲がりな部分が天龍さんの魅力」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

武藤敬司(61歳)が25年前の天龍源一郎とのベストバウトを語った

 65歳の天龍がオカダ・カズチカと戦った引退試合は年間ベストバウトに選ばれている。一方の武藤も2021年の潮崎豪戦に続き、ムタのラストマッチとなった2023年のSHINSUKE NAKAMURA戦で受賞している。還暦となってもトップを張り、間を大事にするプロレスを究め、お互いに現役を締めくくる試合がベストバウトになるというのは何とも不思議な縁だ。

「ああいう引退の仕方も天龍さんっぽいよ。だから俺の引退試合では(対戦相手の)ラインからオカダは外させてもらった」

 刺激、参考のみならず、最後まで意識させられた人とも言えるのかもしれない。

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 引退した武藤は解説など一歩引いた形で今のプロレスを眺めている。全体の活気という意味では危機感も覚えている。

 足りないものは何か?

 そう尋ねると、即答だった。

「一つはやっぱり天龍源一郎みたいなレスラーがいないよね。大きながたいで、武骨で、へそ曲がりで、何よりプロレス頭があって。別にあの人、持ち前のパワーみたいなところで勝負していないから。みんな結構似たような体型じゃん。今はああいうタイプのレスラーがいないし、いればいいのになって単純に思うよ」

 武藤の言葉に実感がこもる。

 タイプもマインドも違えど、意地を張るのが嫌いな天才は意地を張る武骨との戦いを通じて、背中を通じて、己の戦い方に、そして生き方に味つけをしていった感がある。影響をまったく受けていないようで、その影響をサラリと自分のものにしてしまうのも武藤敬司の天才たるゆえんなのかもしれない。

<天龍源一郎編から続く>

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