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「期待はずれレイカーズ」コーチ陣を全員解任、八村塁にもトレードの噂が……“名門の宿命”を痛感した八村がNBA5年目で到達した境地とは?
posted2024/05/12 06:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
名門チームには全世界から注目される反面、だからこその難しさもある。そのひとつが、少しでもうまくいかなくなると変化を求める圧力が各方面からのしかかってくることだ。
NBAの名門チームのひとつ、ロサンゼルス・レイカーズに所属する八村塁は、そんなプレッシャーがかかる環境のなかでやりがいを見つけ、手応えを感じて、NBA選手としての5シーズン目を過ごした。
「僕らはまだ1年半しか一緒にやっていない」
去年、ウェスタン・カンファレンス決勝でデンバー・ナゲッツに敗れたときに、八村はナゲッツの強さはチームの継続性から来るものだと痛感していた。同じスターティングメンバ―で試合を積み重ねてきたナゲッツの結束力を相手に、レイカーズは1勝することもできなかった。
あれから1年たち、今年のプレイオフ1回戦で再びナゲッツと対戦することになった。レイカーズも、1年前よりは継続性のあるチームのはずだった。実際、最初の4試合では試合時間の7割以上でリードを取ることはできたのだが、勝負どころで差が露呈し、1勝しただけでまたも敗退した。
ナゲッツとのシリーズ終盤、ナゲッツのようなチームの継続性がどれだけ大事なのかを力説する八村に、番記者のひとりから質問が飛んだ。
「レイカーズのようにまわりから大きな期待がかかるチームでは、期待に応えられないとふつう変化が起こるものですけれど、もしこのグループがこのまま継続し、もっと長くいっしょに経験を積んでいったらナゲッツのように戦うことができると思いますか?」
間もなく終わるシーズン後の変化を見据えての問いかけだった。
これに対して八村は「自分はそう思います。僕らも才能ある選手は揃っていますし、その点ではどのチームにも負けません」と断言。さらにこう続けた。
「僕らはまだ1年半しかいっしょにやっていないので、あとはチームとして戦う経験を積むだけです。確かにビッグマーケットのチームで他とは違うし、常に多くの変化がありますけれど……」
大都市にある名門チームの宿命に対して抗い、祈るようなコメントだったのが印象的だった。