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「期待はずれレイカーズ」コーチ陣を全員解任、八村塁にもトレードの噂が……“名門の宿命”を痛感した八村がNBA5年目で到達した境地とは?
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2024/05/12 06:00
NBA5シーズン目を終えた八村塁(26歳)。4年ぶり18度目の優勝をレイカーズだったが、プレーオフ1回戦敗退となった
NBA5シーズン目の今シーズン、八村はプレイオフチームのスターターとして勝利に貢献できる選手であることを証明した。去年7月にレイカーズと交わした3年5100万ドルの契約に価する選手であることも証明してみせた。
シーズン前半こそ故障続きでリズムをつかめなかったが、2月3日にスターターに定着すると勝利に貢献。終盤戦にチームが22勝10敗、勝率69%の好成績で順位を上げ、プレイオフの座を獲得する原動力となった。
個人的にも昨季のプレイオフから成功率を上げていた3ポイントショットをシーズン通して高確率で決め、リーグ12位の42.2%の成功率を残した。レブロンやアンソニー・デイビスにディフェンスが集まるのにあわせたオフェンスで、3ポイントを決め、ディフェンスの動きを見てドライブインし、サイズの小さい選手にマッチアップされているとポストアップし、オフボールでゴール下に入り込み、効率よく得点をあげていった。
個人プレーだけでなく、チームの中での攻撃力にも磨きがかかった。弱点でもあったディフェンスにも成長が見られ、相手のエースを守るように任されることも増えた。もちろん簡単なことではなく、チームメイトたちに助けられながら、それでもうまくいかないこともあったが、より大きな責任を担う中でチームから求められることに応えようと奮闘した。
「サラリーが上がれば責任もついてくる」
3月、デイビスは八村の活躍についてこんなことを言っていた。
「彼には、サラリーが上がればそれだけ責任もついてくると言っているんだ。サラリーが上がれば、それだけの価値があるとチームが思ったところまでプレーのレベルを上げなくてはいけない。その点で彼はよくやっていると思う」
サラリーが上がり、チーム内の責任が大きくなる中で自信をつけ、時に壁に突き当たり、まわりからの期待に応えようと努力し、それにともなう悩みも経験し、その中で成長したシーズンだった。