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なぜ水原一平通訳は“狙われた”のか? カジノ専門家が解説する違法賭博業者の思惑「大谷翔平に近い立場」「業者のゴールは八百長」―2024上半期 BEST5
posted2024/04/28 06:01
text by
齋藤裕(NumberWeb編集部)Yu Saitou
photograph by
JIJI PRESS
2023ー24年の期間内(対象:2023年12月~2024年4月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。水原問題部門の第4位は、こちら!(初公開日 2024年3月26日/肩書などはすべて当時)。
出会いの場となった「ポーカー」
発端は3年前にさかのぼる。2021年、カリフォルニア州サンディエゴ。今月20日の開幕戦で対戦したパドレスのお膝元で水原一平氏はポーカーを楽しんでいた。水原氏は“プレーヤー”として、一人の男と出会う。現在、違法賭博などの疑いで捜査を受けているマシュー・ボウヤーだ。水原氏が「マット」と呼ぶその男を通じて信用貸しで賭けをするようになったのが全ての始まりだった。
接点となったポーカーはカジノ施設のない日本では馴染みが薄いが、アメリカ合衆国カリフォルニア州では合法の賭博だ。しかし、ポーカーテーブルが今回のように違法賭博への「入口」にもなってしまうことがある。海外で活動する日本人ポーカープレーヤーはこう語る。
「高額な掛け金のテーブルでプレーしていると話しかけられることはよくあります。ポーカーは待ちの時間が長く、会話が発生しやすい。見知らぬヤツから『スポーツベットは普段どこでやっているの?』なんて聞かれるなんてこともありました。大谷選手の通訳でTVに映るような有名人であれば近寄ってくる輩も多いことでしょう」
スポーツ賭博がプロスポーツの収益を“裏支え”
そもそもスポーツの勝敗などを賭けの対象にするスポーツベットは、米ネバダ州以外ではもともと禁止とされてきた。しかし、2018年に連邦最高裁判所が各州に判断を委ねる決定をし、合法化する州が急拡大。現在は38州で合法化され、国際カジノ研究所所長の木曽崇氏によれば「ブックメーカー施設での放映権料や予想するにあたってのデータ提供料がプロスポーツ団体の収益を裏支えしてきた側面もある」という。