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「メンバー外で腐っている暇はない」“テレビに映らない大阪桐蔭の練習風景”元主将が明かす…甲子園最多69勝・西谷浩一監督の準備力とは
posted2024/04/15 17:05
text by
間淳Jun Aida
photograph by
Hideki Sugiyama
今回のセンバツでも、2つの白星を積み上げた。
大阪桐蔭・西谷浩一監督は1回戦の北海に勝利して、甲子園通算勝利数で智弁和歌山の高嶋仁前監督に並んだ。高嶋前監督が約46年かかった道に26年ほどでたどり着いた。そして2回戦で神村学園を下し、単独1位となる「69」に記録を伸ばした。甲子園での勝率は.831と驚異的な数字を残している。
いつも通りに試合でプレーする大切さを学んでいます
偉業達成に近道はない。
西谷監督は勝利の確率を上げるチームづくりで、白星を1つ1つ積み重ねてきた。その根底には「想定と準備」がある。
今センバツで3番に座った徳丸快晴選手は「西谷先生からは基礎基本の徹底や、どんな状況でも焦らない準備の大切さを教わっています。目の前の試合をどのようにして勝つのを考え、どん欲に1勝を目指していると感じます」と話す。エースの平嶋桂知投手は「西谷先生からは、いつも通りに試合でプレーする大切さを学んでいます。そのために、普段から試合で勝つ、日本一になる意識と準備を心がけています」と語っていた。
あらゆる事態を想定して準備を進める西谷監督のスタイルは、甲子園でも随所に表れる。例えば、ブルペン。大半のチームはマウンドにいる投手の状況を見て、他の投手の準備を進めていく。
ところが、大阪桐蔭はプレーボール直後からブルペンに投手が入る。先発投手の能力や調子は関係ない。
平嶋が先発した準々決勝の報徳学園戦は、1回表に大阪桐蔭の攻撃が始まる時、すでに背番号10の南陽人投手がブルペンで投球を開始。2回には背番号11の中野大虎投手、3回には背番号18の川上笈一郎投手が肩をつくった。
2回戦の神村学園戦も先発の森陽樹投手が1回表の投球に入るタイミングで、中野がブルペンに入る。2回には背番号15の山口祐樹投手、6回は平嶋が準備を進めた。西谷監督が試合開始直後から控え投手をブルペンに向かわせるのは今大会に限らない。