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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「左対左という概念は捨てます」「阪神だって当たり前のことをしているだけ」巨人を変える“阿部野球”の正体とは…〈新監督インタビュー〉
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2024/02/15 11:03
宮崎春季キャンプで若手選手を指導する巨人・阿部慎之助監督
――ゲームプランとしては9回の大勢に繋ぐために、いま名前が挙がった投手たちを軸に7、8、9回をワンセットみたいな感じでリリーフ陣は作っていくことになりますね。
阿部監督 そうですね。
――で、左(打者)の多いところで高梨(雄平)とか…。
阿部監督 いや、僕はあまり左対左ということはこだわってない。わざと右バッターに左ピッチャーを当てるかもしれないし、右バッターで左投手の膝元のスライダーが嫌なバッターもいますから。多分、そういう子にはあえて左ピッチャーをいくかもしれない。僕が左バッターだったんで、左バッターだからと左ピッチャーが来た時ラッキーと思うことも多かったです。開かないように打つので自然にバッティングが良くなっちゃうんですよ。
先発候補は「9人くらい」
――左が左を打つ。ヤクルトの村上宗隆内野手とか、確かにいい左バッターは左投手の方が打率がいいというのは最近の特長でもありますよね。
阿部監督 そうなんです。逆だと思うんです。だから左バッターが出てきたら、左のワンポイントというその概念は、僕はもう捨てます。
――型に嵌った継投はしないということ。
阿部監督 そうですね。今日も高梨に「悪いけど、左だけに俺は当てるつもりはないからな。右のときもお前、行くかもしれないよ」っていうのを言ったところなんです。
――このオフはリリーフ陣の立て直しということに主眼を置いて、補強を進めてきたと思いますが、先発陣に関してはどう見ていますか?
阿部監督 菅野(智之)、戸郷(翔征)、外国人2人(フォスター・グリフィン、ヨアンデル・メンデス)に山崎(伊織)、赤星(優志)、それにルーキーの西舘(勇陽)にサウスポーの森田(駿哉)。先発候補はいっぱいいるんです、頭数はね。あと高橋礼もまずは先発でやってもらうし、先発候補は9人ぐらいいます。贅沢な悩みですけど。
捕手としての視点
――そういう意味では、やっぱり9回ですね!
阿部監督 まずは抑えです。
――中継ぎの馬場も、宮崎キャンプではかなり評判が良いですね。
阿部監督 そうですね。僅差でリードされている試合で馬場とか近藤が使えるわけですから。これは贅沢ですよね。中継ぎ陣が踏ん張ってくれて、負けている試合をひっくり返してどれだけ拾っていくか。そこが優勝するための1つの鍵になると思う。最初にお話ししたように、負け試合を簡単に負けるんじゃなくて、なんとか粘って、そのうちのいくつを逆転して勝ち星に繋げられるか。そこがシーズンを通じて大きなポイントになると思っています。だからもちろん先発は大事ですが、リリーフ陣にかかる比重も大きい。
――先ほどの左対左にこだわらないというお話しだとか、そういうところはキャッチャー出身の監督らしい視点の1つですよね。
阿部監督 自分の捕手として、バッターとしての体験談とか経験談が、多分自分の野球になっていくんだろうなって思うので。そういうのを、しっかりチーム全体に浸透させていければいいと思います。