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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「まだこのチームは再生できる」阿部慎之助監督が明かす巨人復活のキーマン「信じてあげたい」丸佳浩への思い…秋広は「まず大人になって」
posted2024/02/15 11:02
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
SANKEI SHIMBUN
――キャンプでは精力的に動き回る姿が目につきます。監督業にはだいぶ慣れてきましたか?
阿部監督 秋よりは監督という仕事の実感は増しています。ただ実際にやること自体は去年までとあまり変わってないかなっていう(笑)。去年もヘッドコーチとバッテリーコーチを兼任していましたし、グラウンドでの動きは、何となくこれまでと一緒かなという感じです。
チームに足りなかったもの
――今年は球団創立90周年のメモリアルイヤー。当然、監督も勝たねばならない十字架の重さを感じていると思います。しかしこの2年、優勝から遠ざかっているばかりか、いずれもBクラスに沈んだチームの立て直しは簡単ではない。実際にこの2年間を中から見ていて、このチームには何が足りなかったと感じていますか?
阿部監督 最後には勝つんだ、という意識ですかね。技術はあったんですよ、みんなね。だからその強い意志だけだと思うんですけどね。
――ここ数年のチームを見ていて、一番気になるのは“負け方”です。何か簡単に、あっさり負ける。強いチームって、同じ負けるのでも何かを残して負けるというか、簡単に負けない、というところがあると思うんです。
阿部監督 確かにここ数年のジャイアンツが負けるときって、あっさり負けることが多かったように思います。同じ1点差、2点差で負けるのでも、最後はきちんと見せ場を作って、惜しくも負けるというのならまだいいんです。その中で何試合かは見せ場を作って、最後に逆転して勝っちゃう。僕も経験ありますが、そういう試合が多いシーズンは優勝しているかな、というのはありますよね。
「このチームは再生できる」
――阿部監督の現役時代で印象に残っているのは、2015年にヤクルトに敗れたときの姿です。シーズンを2位で終え、クライマックス・シリ―ズのファイナルステージも1勝しかできずに敗退した。でも、あのときの“選手・阿部慎之助”は大袈裟に言えば、ただ一人、負けまいと必死だったように見えていました。
阿部監督 そうバットを短く持ってね。とにかくヒットに徹して……やりましたね。
――その姿を見て「ああ、勝つ喜びはもちろんだけど、負ける怖さを知っている選手なんだな」と……。それって中日とのシーズン最終戦に勝って優勝した“10・8決戦”の時に、長嶋茂雄監督(現・終身名誉監督)をはじめ落合博満さんや松井秀喜さん、斎藤雅樹さんに槙原寛己さん、桑田真澄2軍監督とか、巨人の主力選手が持っていたメンタルなんです。
阿部監督 それが(巨人の)伝統だと思います。