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「そこまで獲るか!」浦和レッズ“大型補強”北欧代表コンビに元J1得点王…「練習の70%は攻撃」と宣言するヘグモ新監督に課せられた使命とは?
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2024/01/15 11:02
近年のJリーグにおいて特筆すべき“大型補強”を図った浦和レッズ。ペア・マティアス・ヘグモ新監督はその豪華陣容をどう操るのか
ここ3年のストーブリーグを振り返ると、浦和は小泉佳穂や明本、松尾、髙橋利樹、松崎快、知念哲矢など、J2クラブからポテンシャルのある選手を引き抜いたり、伊藤敦樹や大久保智明、安居海渡といった大卒選手を育てたりしながら、チームのベースを築いてきた。
狙うはリーグ優勝、25年夏のクラブW杯上位進出
だが、今回はJ1クラブの主力級や現役代表選手を獲得するなど、戦略や傾向が変わったのは明白だ。
「大きな方向性に変化はないですが、少し結果を出すために動いたという事実はあります」と西野TDは説明したが、アジア・チャンピオンズリーグ優勝、クラブW杯4位という成績を経て、チームがネクストステージに入ったと見ていいだろう。狙うはリーグ優勝であり、2025年夏のクラブW杯での上位進出だ。
昨年末のクラブW杯のマンチェスター・シティ戦のあと、「今冬、来夏、来季後の移籍ウィンドーでは、『この補強、このチーム編成で、クラブW杯で世界に勝てるのか?』と問われ続けることになる」とNumberWebのコラムで書いたが、まず今冬のフットボール本部の回答は、満点に近い。
こうした充実の補強の中で、最も価値が高いのがヘグモ監督の招聘だろう。
ノルウェー女子代表やノルウェーA代表、国内の強豪ローゼンボリの監督を歴任し、21年にはスウェーデンのヘッケンの監督に就任。チームは2シーズン続けてリーグ最多得点を記録し、22年シーズンはリーグ王者に輝いている。
選手たちから人望のあったポーランドの知将、マチェイ・スコルジャ前監督の後任としては最適な人選だと言っていい。
気難しいタイプかと思いきやコメントを聞くと…
強面で気難しいタイプかと想像していたが、新体制発表会でのツカミは完璧だった。
「私の祖父は生涯を通じて世界を旅する船長でした。私は子供の頃、祖父の膝の上に座って、世界中を旅した経験を聞くのが好きでした。彼の最後の旅先は日本でした。帰ってきてから彼は日本の国としての素晴らしさ、そこにいる人間たち、その文化が本当に良いものだったという話をしてくれました。その後、2002年のW杯で日本に行く機会があり、そこでもいいインスピレーションを得ました。そして本日、浦和レッズという素晴らしいクラブの監督としてここに座ることができました」
ヘッケンでは4-3-3の布陣で両ウイングの攻撃力を活かし、破壊力抜群のスタイルでスウェーデンリーグを席巻した。浦和でも4-3-3を採用し、ゲームを支配しながら、鋭い速攻を仕掛けていくことを明言。全員攻撃・全員守備の重要性を訴えながらも、それぞれのポジションに求めることを熱弁した。