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井上尚弥は「倒すことにこだわった?」タパレス戦10回KO劇…元世界王者・飯田覚士が唸った“軽いアッパー”「タパレスも“あれ”には驚いたはず」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/12/30 17:02
スーパーバンタム級2団体王者のタパレスに10回KO勝利をおさめた井上尚弥。元世界王者の飯田覚士がこの一戦を徹底解剖する
「7月の(スティーブン・)フルトン選手との一戦は、ジャブで差し勝つとか“当てる”ことにフォーカスしていました。タパレス選手に対しては最大限に警戒しつつも、慎重に進めつつも、一発ガツンと当ててそれも上(顔面)で倒そうとしているんじゃないかな、と。強めのワンツーをかわされることも繰り返しありましたから。
パンチ力を抑えてワンツーが外れても下がるタパレス選手をスリー、フォーと手数で詰めていくパターンを繰り返していくことがもっとあると、尚弥選手の強みである足が活きて、よりモンスターらしい勝ち方ができたかなとは個人的に感じました。とはいえ、今回の勝ち方は凄かったんですけどね」
バンタム級に続いて4団体王座統一に成功した井上はしばらくスーパーバンタム級にとどまって戦うことをリング上で明言している。飯田はどのように見ているのか。
「体を見るとリカバリー(前日計量後の回復)でちょっと水分が多かったのかもしれません。何を言いたいかというと、尚弥選手はスーパーバンタム級に上げて、7月、今回の12月と2試合しかまだやっていない。仕上げ方、調整の仕方を含めていろいろと試行錯誤をしているんだと思います。だから今はまだその幅のなかでやっている感じがあります。倒すことにこだわって見えたのも、そういう側面があったのかもしれません。
今回の経験を踏まえつつ階級調整の情報量を増やして、尚弥選手らしく完璧にアジャストしていくのではないでしょうか。だからこそ今のところはこの階級が適正かなと感じますし、次回の戦いがより楽しみになってきます」
情報の量と質をバージョンアップしつつ適切に処理していく井上尚弥の凄味。
スーパーバンタム級での伸びしろは、むしろここからのようだ。